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【他科への手紙】小児心臓外科→産科

No.4807 (2016年06月11日発行) P.49

藤本欣史 (島根大学医学部附属病院循環器・ 呼吸器外科(心臓血管外科)講師)

登録日: 2016-07-08

最終更新日: 2017-01-24

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  • 我々小児心臓外科医の仕事は、生まれながら心臓の構造に大きな問題を持った「先天性心疾患」の児をいかに手術で治すか、ということです。「どのように治すか」を計画するには、「どのようになっているのか」を詳細に知ることが重要です。多くの場合は、出生後に小児循環器科医が心エコー検査を行い、詳細な診断をつけてくれます。

    あらゆる領域で画像診断技術が飛躍的に進歩した現在、各科で様々な検査モダリティーを用いて診断をする中で、小さな赤ちゃんを相手にすることが多い我々の場合は、「どうやって」診断するかも大事なのですが、「どのタイミングで」診断するかも非常に大切です。特に、疾患が重症化するほど……。なぜなら、重症な心疾患であればあるほど、我々小児心臓外科医が出生後早期に治療介入する可能性が高いのです。

    産科では妊娠経過中に胎児心エコーを行い、心疾患の有無のスクリーニングを行ってくれます。むろん、小児循環器科医が、あるいは小児循環器科医と産科医が一緒に検査したり、産科医が一次スクリーニングを、小児循環器科医が詳細な二次検査をする、ということもあるでしょう。各チームのマンパワーや経験などに基づき、施設ごとにシステムが決められていると思います。疾患が複雑になるほど、児が生まれる前に詳細に診断がついているほうが有利です。分娩方法や時期を決めたり、出生後の児への治療介入の準備を入念にしたりと、「慌てることなく」行える可能性が高くなります。「慌てることなく」医療が提供できるということは、すなわち「考えられうる最も安全な」医療が提供できる可能性が高まることを意味します。

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