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市販の二酸化塩素製剤の殺菌効果と人体への安全性は?

No.4959 (2019年05月11日発行) P.57

大久保 憲 (幸寿会平岩病院病院長/東京医療保健大学名誉教授)

登録日: 2019-05-09

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市販の二酸化塩素製剤は密閉空間での殺菌効果はある程度認められるようですが,ペン型やネームホルダー型等の携帯型もあります。動きのある空間での効果はどの程度確認されているのでしょうか。

(千葉県 C)


【回答】

【殺菌効果に一定の評価ができず,人体への安全性も確立されていない】

二酸化塩素の殺菌効果を売り物にした製品が出回っています。その効果を評価する前に,二酸化塩素はわが国では消毒薬に分類されていない未認可物質であることを理解しなければなりません。医薬品でも,医薬部外品でもなく,雑品(雑貨)に分類されており,製品の主成分表示の義務はありません。殺菌消毒効果を表示した場合には,不適表示広告ということになります。

近年,市中に出回っている製品のように,インフルエンザなどのウイルス感染を予防できるという効能・効果を表示しているものがありますが,厚生労働大臣による医薬品としての製造販売承認が得られていないものに該当しますので,その効果については一定の評価はできません。ウイルス感染を予防できると商品の効果・効能として表示するには厚生労働大臣による医薬品としての製造販売承認が必要であり,医薬品として販売されている二酸化塩素製品は存在しません。

殺菌効果からみると,二酸化塩素は次亜塩素酸ナトリウムよりも強力な殺菌作用を示しますが,閉鎖空間において二酸化塩素ガスを使用することは生体毒性の面から推奨されません。このように,二酸化塩素の安全性については米国では作業環境基準がありますが,わが国では基準がありません。低濃度において長期間曝露した場合の安全性は検証されていません。

二酸化塩素が食品添加物であることから,その安全性を示している製品もありますが,だからといって安全とは言い切れません。塩素製除菌剤を首からぶら下げて幼児を抱いていたところ,幼児の胸部が化学熱傷を負う事故も発生していますので,食品添加物であっても必ずしも安全であるとは言い切れません。長期間低濃度雰囲気での曝露に関する安全性の検証(毒性試験)は不安定で反応性の高いガスであるため,塩素ガスより毒性が高いとされて,世界的にみても安全性は確立されていません。曝露限界に関する基準も存在しません。

国民生活センターが実施した首から下げるタイプの除菌用品に対する調査では,皮膚腐食性や安全性を過信させる表示が認められるなど,今後の改善が求められています。

【回答者】

大久保 憲 幸寿会平岩病院病院長/東京医療保健大学名誉教授

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