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医師法第21条の解釈は従来と変わらず─異状死体を大審院判決から考える[提言]

No.4955 (2019年04月13日発行) P.36

小田原良治 (日本医療法人協会常務理事)

登録日: 2019-04-05

最終更新日: 2019-04-05

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  • 〔要旨〕本年3月14日、「医師法第21条に関する懇談会」を開催した。突然の医事課長通知「医師による異状死体の届出の徹底について」で医療現場は混乱したが、この通知は従来の「医師法第21条は、法律制定時より、診療関連死を想定したものではなく、検案をして、死体の外表を検査して、異状がある場合に届け出る規定である」との厚労省の解釈を変えるものではないことが明確となった。1918年の大審院判決以来、異状死体の届出義務の解釈は全く変わっていない。


    本年3月14日、一般社団法人医療法務研究協会主催で、衆議院議員で元厚労副大臣の橋本岳氏、厚労省医政局医事課長の佐々木健氏、当協会顧問弁護士の井上清成氏、協会理事長を務める筆者とで「医師法第21条に関する懇談会」を開催した。医事課長通知「医師による異状死体の届出の徹底について」で医療現場が混乱していることから、直接、通知の真意を知るべく開催したものであるが、同通知が、従来の厚労省の解釈を変えるものではないことが明確となった。

    筆者は、本誌(4950号)において、1969年の東京地裁八王子支部判決に基づき、『異常』と『異状』の意味を論述した。即ち、『異状』とは死体の状態のことであり、検案(死体の外表を検査)して外表の状態が『異状』ということである。人間は健康が「正常」である。皮膚の色が悪い、唇が紫色であるなど、健康な状態と比べたときに「おかしい」というのが異常であり、その極致が死体の外表面である。死体の皮膚(外表面)はそもそも「異常」なのである。したがって、外表面が人間として見れば『異常』であるが、死体として見れば、普通の状態を医師法第21条は『異状なし』との表現にしたとの論考を行った。遡って、同様な論理が1918年大審院判決にも認められる。同判決は、「疾病は、生活機能に障害があることを言い、死亡はこの障害の極致である。このように考えれば『屍體』には常に『異常あり』と言わざるをえない」と述べている。『異常』と『異状』に関する筆者の見解を補強する論理と言えよう。

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