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【他科への手紙】眼科→内科

No.4777 (2015年11月14日発行) P.49

石川恵里 (愛媛県立中央病院眼科医長)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-02-09

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  • 内科の先生方からは、日頃より患者さんのご紹介を頂きます。その中でも特に糖尿病網膜症などの眼底疾患に関する精査依頼のケースが多いと思われます。

    眼底検査の前に、まず細隙灯顕微鏡で前眼部の診察を行います。この段階で、狭隅角(前房深度が浅くないかどうか)の有無を必ずチェックし、問題がなければ眼底検査に進みます。その際、トロピカミドとフェニレフリンが含まれる点眼薬(ミドリンP)を点眼して瞳孔を散瞳させることが必須で、これにより眼底を十分観察できる状態にします。

    トロピカミドは抗コリン作用により副交感神経支配の瞳孔括約筋(縮瞳に関与)を弛緩させることで散瞳を起こし、フェニレフリンは交感神経支配の瞳孔散大筋(散瞳に関与)に作用し、散瞳を起こします。約30分で効果が発現して4~5時間は散瞳状態が持続し、その間は眩しくピントが合いにくくなるため、自家用車で来院しないよう説明しております。

    狭隅角が問題になる理由として、ミドリンPで散瞳すると散瞳効果が強いため、狭隅角の症例では隅角が閉塞してしまう場合があり、これにより緑内障発作を引き起こします。そのため、狭隅角の症例に対する眼底検査には、フェニレフリンのみを含む点眼液(ネオシネジン)を用います。散瞳効果は弱いですが拮抗作用のあるピロカルピン点眼液に反応して縮瞳するため、発作の起きるリスクがきわめて低くなります。

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