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慢性会陰部痛の漢方治療

No.4950 (2019年03月09日発行) P.56

西田欣広 (大分大学産科婦人科准教授)

楢原久司 (大分大学産科婦人科教授)

登録日: 2019-03-10

最終更新日: 2019-03-05

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【奏効例が散見。西洋医学的治療に行き詰まりを感じた際の選択肢に】

慢性会陰部痛(vulvodynia)は,2004年にInternational Society for the Study of Vulvar Diseaseが「視診でわかる明らかな病変がなく,3カ月以上にわたって続く慢性的な外陰の痛みや熱感」と定義した新しい疾患概念である。急性会陰部痛のように比較的原因が特定でき,治療手段も原因療法が行える器質的疾患と異なって,慢性的に経過した会陰部痛は多くの場合,原因不明かつ心理的要因も加味され,より病態が複雑化し治療に難渋する1)。西洋医学的にはホルモン療法をはじめ,消炎鎮痛薬,抗うつ薬,抗不安薬などの薬物療法や理学療法,認知療法,さらに各種神経ブロックなども選択されているが,効果が一時的もしくは無効の場合も多い。

最近,vulvodyniaに対する漢方治療が奏効している報告を散見する2)。ポイントだけ述べると,漢方医学的に冷えがある高齢者には牛車腎気丸,精神症状の強い患者(気の異常)には加味逍遙散や補中益気湯,さらに瘀血(血の異常)のある患者には乙字湯や桂枝茯苓丸などが応用されている。詳細な使用法は成書に譲るので興味がある方は参照して頂きたい。このように,会陰部の局所のみならず,全身の状態を観察して処方を選択する漢方療法は,患者の辛さを理解しようとする共感的診察法(精神的支援)でもあるため,西洋医学的治療に難渋した際の糸口になる可能性がある。

【文献】

1) 藤井俊策:日産婦会誌. 2006;58(9):N390-4.

2) 上村裕平:ペインクリニック. 2017;38(別冊秋): S389-94.

【解説】

西田欣広*1,楢原久司*2  大分大学産科婦人科 *1准教授 *2教授

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