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硬膜動静脈瘻に対するOnyxの使用適応拡大

No.4950 (2019年03月09日発行) P.55

松田 謙 (福井大学脳脊髄神経外科)

登録日: 2019-03-08

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【Onyxは長時間の間欠的注入が可能で,より高い浸透性を得ることができる】

硬膜動静脈瘻(dAVF)は,わが国で年間0.29人/10万人程度の検出率(発生率)と稀な疾患で,治療は血管内治療が第一選択となることが多い。静脈洞を介するdAVFの場合,静脈洞壁に存在する硬膜動脈と硬膜静脈の微小なシャントが疾患の本態であるため,罹患静脈洞部をコイルで塞栓する経静脈的塞栓術は,根治度の高い治療である。一方,罹患静脈洞部がいまだ正常静脈灌流を受けている場合や,静脈洞を介さないdAVFの場合には,コイルもしくはn-butyl-2-cyanoacrylate(NBCA)を用いた経動脈的塞栓術を行うが,シャント部の完全閉塞を得られないことがある。コイルではシャント部の閉塞は不可能なことと,NBCAは血液中のイオンに接することで重合する性質のため,シャント部に到達するまでに重合し血管と接着してしまうことが,ままあるためである。

Onyxは,NBCAとは異なる非接着性の析出型液体塞栓物質で,わが国では,2010年に脳動静脈奇形の術前塞栓術使用目的として薬事承認されている。NBCAと比較して長時間の間欠的な注入が可能で,より高い浸透性を得ることができるため,dAVFへの使用の適応拡大が望まれていた。

13年11月~16年6月の期間で,わが国で医師主導治験としてOnyxの安全性,有効性を評価する多施設共同単一試験が行われた。この結果を受け,「経静脈的塞栓術等では十分に治療目的を達成することが困難なdAVFに対する塞栓物質として血管塞栓術にて使用する」ことが18年4月25日に承認され,9月1日から保険償還が開始された。今後,OnyxによるdAVFの治療成績の向上が期待される。

【解説】

松田 謙 福井大学脳脊髄神経外科

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