株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

肝疾患におけるサルコペニアの合併について

No.4946 (2019年02月09日発行) P.52

舘 佳彦 (藤田医科大学ばんたね病院消化器内科講師)

平岡 淳 (愛媛県立中央病院消化器内科部長)

登録日: 2019-02-11

最終更新日: 2019-02-05

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 近年,肝疾患に対する治療の向上により生命予後が改善しました。その結果,肝疾患患者の高齢化が進んでいるため,サルコペニアの合併に留意すべきであると思われます。しかし,肝疾患におけるサルコペニアの診断,治療に関してはいまだ明確になっていないことも多いと思われます。
    この点に関して,肝疾患におけるサルコペニアに関して多数のご報告をされている愛媛県立中央病院・平岡 淳先生にご教示を頂きたいと思います。

    【質問者】

    舘 佳彦 藤田医科大学ばんたね病院消化器内科講師


    【回答】

    【慢性肝疾患はサルコペニア危険群であることを意識する必要がある】

    加齢に伴って筋力・筋量が低下することをサルコペニアと定義(Rosenberg,1989)しています。近年,慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)や腎不全,心不全など,慢性疾患においても二次性にサルコペニアを高頻度に合併することが知られてきました。慢性肝疾患においても同様にサルコペニアが合併します。当院の800例を超す外来患者での検討では,肝硬変Child-Pugh B/C,Child-Pugh A,慢性肝炎において,少なくとも筋力・筋量のいずれかが異常を呈する症例は67%,44%,31%と思いのほか高率でした(うちサルコペニア率は各16.7%,4.8%,3.9%)。

    日本肝臓学会から,2016年には肝疾患におけるサルコペニア診断基準が提唱されて,臨床で使用されるようになりました。

    残り1,043文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    関連物件情報

    もっと見る

    page top