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学会レポート─2018年欧州糖尿病学会(EASD 2018)[J-CLEAR通信(98)]

No.4937 (2018年12月08日発行) P.50

宇津貴史 (医学リポーター/J-CLEAR会員)

登録日: 2018-12-07

最終更新日: 2018-12-04

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2018年10月1日から5日間,メッセ・ベルリン(ドイツ)において,欧州糖尿病学会(European Association for the Study of Diabetes:EASD)第54回年次集会が開かれた。本年はこれまでに比べ,報告と同時に論文公表となる試験も多く,活発な印象を受けた。Late-Breakingである“Harmony Outcomes”と“CARMELINA”の両ランダム化試験,またEASDと米国糖尿病学会(American Diabetes Association:ADA)による高血糖管理コンセンサス文書については,既にWeb医事新報にて報告しているため(10月5日,9日),ここではそれ以外の話題を紹介したい。

1 軽~中程度腎機能低下例でSGLT2阻害薬による血糖低下作用は減弱するが,CVイベントは有意に抑制:CANVAS Program追加解析

2016年の米国糖尿病学会で報告されたCANVAS Programでは,心血管系(CV)イベント高リスク2型糖尿病(DM)例に対するSGLT2阻害薬のCVイベント抑制作用が示された1)。以来,SGLT2阻害薬がどのような機序でCVイベントを抑制するか議論が続いているが,血糖低下作用とは無関係なようである。Vlado Perkovic氏(ジョージ国際健康研究所,オーストラリア)が報告した,試験開始時腎機能別の追加解析を紹介したい。

CANVAS Programの対象は,2型DMを認め,50歳以上でCVリスク因子を2つ以上有する,あるいは50歳未満30歳以上でCV疾患既往を有する1万142例である。SGLT2阻害薬(カナグリフロジン)群とプラセボ群にランダム化され二重盲検法で平均47カ月観察した結果,SGLT2阻害薬群の対プラセボ群「CV死亡・心筋梗塞(MI)・脳卒中」ハザード比(HR)は0.86〔95%信頼区間(CI):0.75~0.97〕と有意に低くなっていた。

今回報告されたのは,試験開始時の推算糸球体濾過率(eGFR)を「<45」「45~<60」「60~<90」「≧90」mL/分/1.73m2の4群にわけた比較である。

その結果,追跡期間中のSGLT2阻害薬群における,対プラセボ群「収縮期血圧」「体重」「尿中アルブミン/クレアチニン比」の低下率は,腎機能の高低にかかわらず同等に低下していた。しかしHbA1c低下作用は,腎機能低下に伴う有意な減弱が認められ,eGFR「≧90」mL/分/1.73m2例における低下率が「-0.76%」だったのに対し,「60~<90」では「-0.57%」,「45~<60」では「-0.45%」,「<45」では「-0.35%」のみだった(P<0.0001 vs. 「≧90」)。にもかかわらず,1次評価項目である「CV死亡・MI・脳卒中」の対プラセボHRは,腎機能(到達HbA1c値)の高低を問わず一定していた(交互作用P値=0.33)。

ただしこれらイベントを個別に検討すると「脳卒中」では,eGFRが低い(=対プラセボ群HbA1c低下幅が小さい)ほど,SGLT2阻害薬群におけるリスク低下が大きくなっていた〔HRは,eGFR「≧90」mL/分/1.73m2例で1.42(NS)。「60~<90」で0.89,「45~<60」が0.56,「<45」ならば0.32(95%CI:0.11~0.96)。交互作用P値=0.01〕。「CV死亡」と「MI」ではこのような腎機能との交互作用は認められず,「心不全入院」と「腎イベント」も同様だった。

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