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大腸癌肝転移に対する動脈化学塞栓術の概要は?

No.4934 (2018年11月17日発行) P.61

桑鶴良平 (順天堂大学医学部放射線診断学講座教授)

堀 信一 (IGTクリニック院長)

登録日: 2018-11-14

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  •  大腸癌肝転移に対する動脈化学塞栓術を行う際に,イリノテカンを50~100μmのHepaSphereに含浸して使用していますが,抗癌剤の選択方法,永久塞栓物質,特にHepaSphereのサイズ,含浸の方法,治療のエンドポイントなどの手技のエッセンスや注意点について,本法の先駆者であるIGTクリニック・堀 信一先生に現在のお考えをお聞きしたく思います。

    【質問者】

    桑鶴良平 順天堂大学医学部放射線診断学講座教授


    【回答】

    【球状塞栓物質DC-BeadsやHepaSphereを使用して腫瘍内部に化学物質を吸着させる】

    大腸癌は胃癌と同様に早期で発見されれば治癒率の高い腫瘍ですが,術後には全身化学療法が行われ,その治療経過中に肝転移が生じることは稀ではなく,これが予後規定因子になることが多いようです。肝転移の治療法として外科的切除が推奨されており,最近ではRFAも試みられてはいるものの,転移性腫瘍の性質から,残肝に新たに転移が出現してくることが多く,動脈化学塞栓術が現実的な選択肢となりえると思います。しかし,他の癌腫の肝転移に比べて奏効率は低い印象があり,比較的短期間(1~2カ月)に治療を繰り返す必要があります。

    日本でも2014年に承認された球状塞栓物質を用いた動脈化学塞栓術は,従来の方法のような強い局所効果は得られにくいものの,正常肝細胞の障害は少ない傾向にあります。現在,日本で発売されているDC-BeadsやHepaSphereはいずれもイリノテカンを吸着しますので,これらを用いれば腫瘍内部に塞栓材料が分布し,腫瘍内部でイリノテカンが放出されると考えられています。

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