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脳神経外科におけるハイブリッド手術室の導入

No.4927 (2018年09月29日発行) P.53

三上 毅 (札幌医科大学脳神経外科講師)

三國信啓 (札幌医科大学脳神経外科教授)

登録日: 2018-09-28

最終更新日: 2021-01-07

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【高い精度で緻密な作業を実現。従来,困難であった症例の治療が可能に】

ハイブリッド手術室とは,高性能な透視装置と手術寝台を設置し,最近急速に増加している各分野の血管内治療に対応するための手術室である。最新のX線撮影装置と手術寝台を連動させることにより,治療中の安全性と利便性が格段に向上する。従来,カテーテル室で施行していた血管内治療が,手術室でより安全に行えるとともに,治療手技中の透視装置の併用により,造影剤を使用した血管画像の構築が可能となる。治療の確実性が高まり,高度な血管内治療と新しい手術方法の可能性が広がった。

ハイブリッド手術室は心臓や大血管の手術における使用が主であったが,脳神経外科領域でも導入が始まっている。脳動静脈奇形や脊髄血管奇形の手術に術中血管造影診断やカテーテルを用いた血管内手術手技を組み合わせることで,これまで以上に高い精度で緻密な作業が実現できるようになった。また,開頭手術が困難であった症例に対して血管内手術を同時に組み合わせることで,より安全に治療することができるようになる。具体的には,治療困難とされている複雑な巨大脳動脈瘤に対しても,開頭バイパス手術と血管内塞栓術を同時に組み合わせることで,新たな治療の可能性が生まれる。また,別の使用方法として開頭手術中にCT断層撮影も行うことが可能になった。

今後は,他の診断装置との迅速な融合が可能になると,さらに応用が広がる。また,全体的にさらにコンパクトになると応用の幅が広がるものと考えられる。将来的には,必須の機器になることが想定され,さらなる発展が期待される。

【解説】

三上 毅*1,三國信啓*2  札幌医科大学脳神経外科 *1講師 *2教授

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