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一般医家向け「梅毒診療ガイド」公表─性感染症学会[臨床情報Casket]

No.4924 (2018年09月08日発行) P.16

登録日: 2018-09-06

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日本性感染症学会はこのほど、一般医家向けに策定した「梅毒診療ガイド」を学会ホームページ上に公開した。梅毒届出数が男女とも急増し、梅毒診療に不慣れな臨床医のもとにも患者が現れる可能性が高まっていることを踏まえ、自然経過や診断について解説している。
ガイドは、①梅毒の自然経過、②用語解説、③診断と病型分類、④活動性梅毒(要治療の梅毒)の診断基準の整理、⑤治療、⑥治療効果の判定、⑦その他留意事項―の7項目立て。「特論」として妊娠期梅毒と神経梅毒について解説を加えているほか、これから治療を受ける患者向けの説明文も末尾に添付されている。

■梅毒は「複雑な進行形態をとる慢性疾患」
自然経過の項目では、梅毒が「複雑な進行形態をとる慢性感染症」と理解されるようになってきていることに言及。感染から発症までの期間のバリエーションが大きく、性交渉による感染力がある早期梅毒(感染から1年未満)でも中枢神経浸潤を起こす可能性があり、眼病変などの症状が他への感染力のない晩期梅毒(感染から1年以上経過)に限らないことに注意を促している。

■血清中の抗体測定が「現実的」
診断に当たっては、梅毒トレポネーマの数が多い病変部位(硬性下疳、扁平コンジローマ、粘膜疹など)から滲出液のスメア検体をPCR検査に供し、確定することが「望ましい」としている。ただ、PCR陰性でも梅毒を否定できないことがあり、検査を行う医師に習熟が求められることから、代理指標として「血清中の梅毒抗体を測定し、診断することが現実的」との見解を示している。
梅毒は、「偽装の達人」(The great imitator)の異名を持つほど初診段階では他疾患と間違えやすい。そのためガイドでは、初診時、侵襲的検査時、入院時など「折々にRPRと梅毒トレポネーマ抗体を測定してみないと診断がつかない」としている。
患者向けの説明文では、「感染早期に抗生物質を正しく使えば治りやすい病気」であることを強調。また、感染拡大防止に向けて「うつしたかもしれない人」(接触者)に血液検査を勧めることも呼び掛けている。

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