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眼球破裂:作業中と室内での目の保護

No.4921 (2018年08月18日発行) P.57

難波広幸 (山形大学眼科)

登録日: 2018-08-21

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【作業中はゴーグル着用,室内では転倒防止のための環境整備などにより予防を徹底】

眼球の外膜は角膜と強膜で構成され,房水の産生,排出のバランスで調節される眼圧が,その外膜を球状に保っている。眼内手術のみならず,眼球の生理機能もこの形状を前提としている。このため,外傷などにより眼球破裂,穿孔を起こした場合は危機的状況となり,可及的速やかに形状を形成することが求められるが,その予後は不良である。

外傷による眼球破裂の原因には国内でも地域差があり,山形県など農業地域では電動草刈り時の刃の破片の飛入や,植物による穿孔などがみられるが,工業地域では作業中にワイヤーなどで受傷する例が多い。眼球は体表面の面積に比べて小さいが,作業中は常に正面を向いていること,皮膚に比べて柔軟性が低いことから,破裂,穿孔につながりやすい。発生すると重症度が高いことから,ゴーグル着用などの予防対策の徹底が求められる。

高齢化により別の問題も起きてきている。当院を受診した眼球破裂の約25%を転倒打撲が占めているが,その60%は室内での受傷で,室内受傷例の70%は認知症を有していた。認知症患者は身体活動性が低く,室内でも十分に危険があることがここからわかる。転倒打撲例は鈍的外傷のため破裂創が大きくなりやすく,視力予後は60%が指数弁以下と非常に重篤である。受傷後,時間が経って周囲に気づかれる例もあるため,感染リスクも高くなってしまう。今後,社会の高齢化率がさらに高まるに従い,室内環境の整備の必要性はますます高くなっていく。

【解説】

難波広幸 山形大学眼科

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