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支払い意思額調査を実施せず 費用対効果評価で中医協部会が決定

No.4913 (2018年06月23日発行)

登録日: 2018-06-13

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医療技術に対する費用対効果評価の制度化に向けて検討している中央社会保険医療協議会の費用対効果評価専門部会、薬価専門部会、保険医療材料専門部会の合同部会は13日、国民に対する支払い意思額調査を実施しないことを決めた。

費用対効果評価は現在、医薬品・医療機器17品目に試行的に導入されている。同部会では制度化(本格導入)に向けた議論を進め、今年度中に内容を取りまとめることとなっている。

同日は制度化の検討課題のうち、価格調整に用いる基準値と、その設定のための支払い意思額調査について議論した。

なお、試行導入において価格調整に用いる基準値は、過去に日本で行われた支払い意思額調査の結果や英国の基準を参考とし、「500万円および1000万円/QALY(質調整生存年)」としている。

■研究班「新たな調査を実施する必要性は低い」

支払い意思額調査を巡っては、厚労省は昨年、中医協にその実施の可否を諮ったが、死期が迫った「ある人」の余命を1年延ばせる高額治療を保険適用する場合、許容できる負担上限額を問う内容に診療側委員が強く反発し、実施が見送られた。また、3月の前回会合でも厚労省は改めて調査の実施を視野に検討する考えを示したが、診療側委員は「命に値段を付ける性格の調査には断固反対」と表明していた。

13日の部会では、厚生労働科学研究班で費用対効果の基準値設定について研究した成果を福田敬代表(国立保健医療科学院)が報告した。福田氏は「現時点で国として基準値の設定を目的とした新たな支払い意思額調査を実施する必要性は低い」と指摘。その理由として、調査方法(質問方法、提示額など)によって結果が影響を受けやすい、調査目的が回答者の回答に影響を与える可能性がある、基準値を見直す必要があるほど社会・経済状況に大きな変動はみられない―などを挙げた。試行導入における基準値についても「現時点では学術的にも正当化できる水準」とした。

研究班の報告を踏まえ、改めて支払い意思額調査実施の可否について部会が検討した結果、「基準値の設定を目的とした支払い意思額調査は実施しない」「試行導入で採用した基準値は正当化できる」との見解で一致した。

支払い意思額調査を実施しないことを決めた13日の中央社会保険医療協議会の合同部会

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