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どうする? どう伝える? かかりつけ医のための認知症介護指導Q&A

家族の方への適切な介護指導こそ、認知症診療のキモです!

定価:4,620円
(本体4,200円+税)

在庫切れです

著: 川畑信也(八千代病院神経内科部長)
判型: A5判
頁数: 178頁
装丁: 2色刷
発行日: 2008年12月10日
ISBN: 978-4-7849-5353-0
版数: 第1版
付録: -

認知症の患者さんを診療する上で最も手こずる「行動障害・精神症状」(周辺症状)への対応に的を絞った患者・家族指導書です。介護する家族から相談されることが多い質問を70項目列挙し、それぞれにつきすぐに役立つ具体的なアドバイスを付しています。外来で認知症患者さんをフォローしていく上で是非手元に置いておきたい一冊。非薬物療法を極めてこそ、薬物療法の効果もあがります。

診療科: 内科 老年科
    神経内科

目次

第1章 病態の説明・指導
第2章 介護の方針を指導する
第3章 接し方・対応の仕方
第4章 行動障害への対策
第5章 精神症状への対策
第6章 1人暮らしの患者さんの諸問題
第7章 施設入所・公的サービス・法律関係
第8章 薬剤の問題

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序文


認知症診療を行う際、主治医の先生方が困ることに患者さんが示す行動障害・精神症状、いわゆる周辺症状への対応が挙げられます。認知症を専門とされないかかりつけ医の先生方が認知症診療に関わりたくない、あるいは診療を行いたくない原因のひとつにこの周辺症状への対策がわからないことがあるのではないでしょうか? 周辺症状への対応はまず非薬物療法が第一選択であり、これでうまくいかないとき初めて薬物療法を併用するのが原則です。しかし、周辺症状に著効を示す薬剤は少ないことから、実際には非薬物療法を十分習得しておかないと認知症診療に携わることは難しいと言えます。

€本書は、介護する家族から相談されることが多い周辺症状に関する質問あるいは疑問に対して、主治医がどのように病態を説明し、指導したらよいかの技術(スキル)を述べたものです。著者が物忘れ外来で実際に家族から相談を受けた70項目を選び、解説あるいは指導の仕方を記載しております。たとえば、認知症患者さんが自動車を運転しているので心配です、どうしたらよいでしょうか?と相談されることがあると思います。その際に、どのように家族に指導したらよいか、どのように運転をやめさせられるかについて具体的な指導の仕方をわかりやすく解説しています。本書の目的は、認知症介護、言い換えると上手な介護、適切な対応をいかに家族に指導するかであり、薬物療法の実際に関しては言及していません。薬物療法に関して知りたい先生方は、本書の姉妹編に当たる『患者・家族からの質問に答えるための 認知症診療Q&A』をご覧頂けると幸いです。

€認知症に対する薬物療法を含めた根治的治療法がない現在、重要なことは認知症介護であり福祉であります。認知症の介護指導を家族にいかに伝えるかが我々臨床医あるいは主治医に求められているのです。本書は、必ず先生方の認知症診療、特に介護指導にお役に立つ書籍であると確信しています。

€本書が明日からの先生方の認知症診療の一助になれば著者の望外の喜びとするものであります。

€2008年10月

€川畑信也

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レビュー

【書評】かかりつけ医を認知症医療へと導く良書

高橋 智(岩手医科大学内科学講座神経内科・老年科分野准教授)
未曾有の高齢化社会を迎え、認知症患者は増加の一途をたどっている。我が国における認知症患者の増加には、高齢化に伴う有病率の増加に加え、核家族化、高度情報化で優しさやゆとりを失い、高齢者の日常生活のハードルを上げてきた日本社会の変化が大きく関わっている。
認知症の専門医の数は少なく、専門医が認知症医療のすべてを担うのは不可能である。そうした状況を踏まえると、患者の家族背景、介護環境を熟知するかかりつけ医が、認知症医療を主導するメリットは大きい。
かかりつけ医が認知症診療に二の足を踏む要因として、「周辺症状への対応が分からない」という声をよく聞く。確かに、暴力行為が出現し、自傷他害の恐れがある患者では、入院治療や専門医による薬物療法が必要となる例も少なくない。
しかし、患者および介護者に早期から関わり、初期から適切な介護を指導していくと、周辺症状を呈さない例も多く、たとえ周辺症状を伴ったとしても、ちょっとしたケアの見直しや介護の工夫で周辺症状を改善させることも可能である。
本書は、そのような際に介護者への必要なアドバイスを記した良書である。かかりつけ医が介護者からよく受ける70の質問を、その状況とともに事例として記し、内容を「介護の課題」として要約して、「対応の仕方」と「指導のポイント」をまとめている。
特に、かかりつけ医が対応に窮する「一人暮らしの患者さんの諸問題」や「施設入所・公的サービス・法律関係」についても、それぞれ章を割き詳しく伝えているのは、長年、認知症性疾患の臨床の実践に直接関わってきた著者ならではの視点である。
本書は、認知症に関しての基礎知識を習得したかかりつけ医向けの応用編である。基本的事項や薬物療法の基礎から学びたいと考えるかかりつけ医の先生には、姉妹書の『患者・家族からの質問に答えるための認知症診療Q&A』も、机上の友としていただければ心強い。

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