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グローバル時代のウイルス感染症

グローバル時代に注意すべきウイルス感染症の最新情報を専門家が徹底解説

定価:6,696円
(本体6,200円+税)

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編著: 西條 政幸(国立感染症研究所ウイルス第一部 部長)
判型: B5判
頁数: 296頁
装丁: 口絵カラー
発行日: 2019年01月25日
ISBN: 978-4-7849-2150-8
版数: 第1版
付録: -

海外帰りの患者さんが発熱、下痢……そんな時何を疑いますか?
世界で流行するウイルス感染症の疫学や診断・治療の最新情報を網羅した唯一無二の1冊

■本書は国立感染症研究所ウイルス第一部の西條政幸部長全面編集のもと、グローバル時代に注意すべきウイルス感染症について、最新の疫学や、病態、検査、治療、治療薬開発の現状などを1冊にまとめました。

■エボラウイルス病や中東呼吸器症候群(MERS)、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)、狂犬病など、世界では今も数多くの感染症が流行し、多数の患者や死者を出しています。日本国内ではほとんど流行していなくても、グローバル時代の現在、流入防止の水際対策には限界もあり、海外帰りの感染者が一般の医療機関を受診する可能性は決してゼロとはいえません。

■特に注意すべきウイルスについては
1 特徴的な症状
2 発生しやすい地域、流行地
3 感染源
4 診断・治療のポイント
5 年齢分布
6 ヒト―ヒト感染のリスク
7 致死率
8 相談できる専門機関の情報
を一覧表にして掲載し、疾患の特徴が一目でわかるようになっています。
さらに、近年話題になっている風疹やジカウイルス感染症の胎児への影響や、輸血・臓器移植での感染など、特定の状況下における感染のリスクについても解説しました。

■流行地や症状に関する資料も多数掲載。患者さんの症状や訪れた(る)地域によってリスクの高い感染症を調べるといった使い方もできます。「万が一」のその日に備えて、ぜひ本書をお役立てください。

診療科: 内科 感染症

目次

1章 [総論] グローバル時代のウイルス感染症とは
・世界における新興・再興ウイルス感染症の流行状況(西條政幸:国立感染症研究所ウイルス第一部 部長)
・ヒト由来ウイルス感染症と動物由来ウイルス感染症(西條政幸)
・世界における節足動物媒介性ウイルス(フラビウイルス)感染症の流行状況(林昌宏:国立感染症研究所ウイルス第一部第二室 室長)
・世界における節足動物媒介性ウイルス(ブニヤウイルス)感染症の流行状況(下島昌幸:国立感染症研究所ウイルス第一部)
・日本国内に流行している節足動物媒介性ウイルス感染症(加藤博史:国立感染症研究所ウイルス第一部第三室)
・季節性インフルエンザとパンデミック(西村秀一:国立病院機構仙台医療センター 臨床研究部 ウイルスセンター長)
・新興・再興ウイルス感染症と母子感染(森内浩幸:長崎大学大学院医歯薬学総合研究科小児科学教室 教授)
・日本における新興・再興ウイルス感染症の検査体制(西條政幸)
・日本における一類感染症患者の治療(加藤康幸:国際医療福祉大学医学部感染症学 教授)
・海外渡航者のワクチン(水野泰孝:東京医科大学病院渡航者医療センター 准教授)

2章 蚊媒介性ウイルス感染症
・ジカウイルス感染症(先天性ジカウイルス感染症を含む)(鈴木忠樹:国立感染症研究所感染病理部 室長、長谷川秀樹:国立感染症研究所感染病理部 部長)
・デングウイルス感染症と2014年日本国内におけるデングウイルス感染症流行(日紫喜隆行:神奈川県衛生研究所微生物部 主任研究員)
・アメリカ大陸でのみ流行する蚊媒介性ウイルス感染症(前木孝洋:国立感染症研究所ウイルス第一部 主任研究官)
・ウエストナイルウイルス感染症(森田公一:長崎大学熱帯医学研究所ウイルス学分野 教授)
・日本脳炎(田島茂 国立感染症研究所ウイルス第一部 主任研究官)
・黄熱(藤間大貴:国立感染症研究所ウイルス第一部、西條政幸)
・リフトバレー熱フレボウイルス感染症(澤洋文:北海道大学人獣共通感染症リサーチセンター分子病態・診断部門 教授、江下優樹:北海道大学人獣共通感染症リサーチセンター 客員教授、大場靖子:北海道大学人獣共通感染症リサーチセンター分子病態・診断部門 講師)
・チクングニアウイルス感染症(中山絵里:国立感染症研究所ウイルス第一部 主任研究官)

3章 ダニ媒介性ウイルス感染症
・日本におけるSFTS患者発見の経緯(高橋徹:山口県立総合医療センター血液内科 診療部長)
・日本におけるSFTS流行状況と今後の対策(山岸拓也:国立感染症研究所感染症疫学センター 主任研究官、加藤博史:国立感染症研究所ウイルス第一部第三室)
・動物由来ウイルス感染症としてのSFTS(前田健:山口大学共同獣医学部獣医微生物学教室 教授)
・日本におけるダニ媒介性脳炎(TBE)(好井健太朗:北海道大学大学院獣医学研究院公衆衛生学教室 准教授)
・クリミア・コンゴ出血熱(西條政幸)

4章 動物由来ウイルス感染症
・エボラウイルス病(西條政幸)
・ラッサ熱と南米出血熱(安田二朗:長崎大学熱帯医学研究所 教授)
・腎症候性出血熱流行と日本国内外における流行状況(吉松組子:北海道大学医学部微生物学免疫学分野病原微生物学教室 准教授)
・ハンタウイルス肺症候群の流行状況(苅和宏明:北海道大学大学院獣医学研究院 教授)
・狂犬病(西園晃:大分大学医学部微生物学講座 教授)
・鳥インフルエンザウイルス感染症(田村大輔:自治医科大学小児科 講師、渡邉真治:国立感染症研究所インフルエンザウイルス研究センター 室長)
・中東呼吸器症候群(MERS)(福士秀悦:国立感染症研究所ウイルス第一部第四室 室長)
・サル痘ウイルス感染症およびその他のオルソポックスウイルス感染症(吉河智城:国立感染症研究所ウイルス第一部 主任研究官)
・アジアにおけるオルソレオウイルス感染症(江川和孝:国立感染症研究所ウイルス第一部、西條政幸)

5章 経済活動関連ウイルス感染症
・リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス感染症(胎内感染を含む)(木下一美:国立感染症研究所感染症疫学センター)
・ニパウイルス脳炎とヘンドラウイルス脳炎(ヘニパウイルス脳炎)(西條政幸)
・ペット関連ボルナウイルス感染症(朝長啓造:京都大学ウイルス・再生医科学研究所 教授)

6章 ワクチンによるウイルス感染症のコントロールと今後の課題
・ポリオ(清水博之:国立感染症研究所ウイルス第二部 室長)
・麻疹(駒瀬勝啓:国立感染症研究所感染症疫学センター 主任研究官)
・風疹(森嘉生:国立感染症研究所ウイルス第三部 室長)
・天然痘の根絶と現在の課題(齋藤智也:国立保健医療科学院健康危機管理研究部 上席主任研究官)

7章 医療関連ウイルス感染症
・医療(臓器移植,輸血)関連動物由来ウイルス感染症(伊藤[高山]睦代:国立感染症研究所ウイルス第一部第三室 室長)
・医療関連内在性ウイルス感染症(JCウイルスによる進行性多巣性白質脳症)(中道一生:国立感染症研究所ウイルス第一部 主任研究官)
・医療関連内在性ウイルス感染症(ヘルペスウイルス)(山田壮一:国立感染症研究所ウイルス第一部 主任研究官)
・輸血関連ウイルス感染症とその対策(濱口功:国立感染症研究所血液・安全性研究部 部長)

8章 治療・予防に関する最新研究
・新興ウイルス感染症における抗ウイルス薬:ファビピラビル(谷英樹:富山大学大学院医学薬学研究部(医学)ウイルス学講座 准教授、西條政幸)
・新興ウイルス感染症に対する抗体療法の開発(高田礼人:北海道大学人獣共通感染症リサーチセンター 教授)
・フラビウイルス感染症に対するワクチンおよび開発状況(黒須剛:国立感染症研究所ウイルス第一部 主任研究官)
・ウイルス性出血熱(エボラウイルス病を含む)に対するワクチン開発状況(渡辺俊平:岡山理科大学獣医学部獣医学科微生物講座 准教授)

索引

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序文

緒言

 今から約40年前の1977年に致命率の極めて高いウイルス感染症である痘瘡(天然痘)が地球上から根絶された。また,ポリオが地球上から根絶される最終段階に来ている。現時点では,野生型ポリオウイルス2型及び3型による急性四肢麻痺は根絶され,野生型ポリオウイルス1型による急性四肢麻痺だけがパキスタン,アフガニスタン等で流行しているだけになった。一方で,新規病原体による新しいウイルス感染症(新興ウイルス感染症)の発見が続いている。また,既知の感染症が,流行の規模や流行地を変えて発生する事例が相次いでいる。
多くの感染症,とりわけ新興ウイルス感染症の多くは動物由来ウイルス感染症と節足動物媒介性ウイルス感染症であり,また,私たちの生活・生き方,私たちが日常行っている活動(経済的な活動を含む)のあり方と関係している。
2013年12月~15年にかけて,西アフリカで,エボラウイルス病の極めて大きい流行が発生したが,基本的に人から人へは感染しにくい(患者の体液に接触しなければ感染しない)エボラウイルスが2年間にわたり,エボラウイルス病の流行を引き起こし,約28,600人の患者を発生させ,そのうち11,300人を死亡させた。エボラウイルス病がこの大規模流行の原因になった背景には,社会の脆弱性(貧困)の中で生活する現実が挙げられる。
 食品を介して広がる感染症,医療行為が原因で広がる感染症,人の移動に伴って流行地が広がっている感染症,養鶏や養豚などの経済活動と関連する感染症,ペット等の野生動物トレード等と関連する感染症,そして,蚊やダニ等の節足動物が媒介する感染症の流行地が拡大する事例の報告が相次いでいる。このように,最近,私たちが直面する感染症の問題は多岐にわたる。改めてウイルス感染症は私たちの生活と密接な関係があることを確認しないわけにはいかない
 本書では多くの感染症専門の先生方に,専門とする感染症について執筆していただいた。本書は,私たちが今直面している感染症は日本国内だけにとどまらず,世界規模で問題となっている感染症であることを念頭にして,日常のウイルス感染症対策に役立つ専門書となるように計画された。改めて本書の執筆に協力して下さった多くの方々にお礼申し上げたい。
 最後に本書『グローバル時代のウイルス感染症』を日本医事新報社から刊行することになったことをとてもありがたく思う。特に本書の刊行に辛抱強く,また,丁寧に支援して下さった上平和秀氏にお礼を申し上げる。

2018年12月

国立感染症研究所ウイルス第一部
西條政幸

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