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論より証拠の漢方処方

漢方薬にもエビデンスが! これを読めば腑に落ちる!

定価:4,400円
(本体4,000円+税)

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編著: 髙山真(東北大学病院総合地域医療教育支援部・漢方内科 准教授)
判型: B5判
頁数: 186頁
装丁: 2色刷
発行日: 2018年04月30日
ISBN: 978-4-7849-4760-7
版数: -
付録: -
  • 世界初の「漢方薬に関する高齢者の診療ガイドライン」をまとめた東北大学漢方内科のメンバーによる、漢方処方の入門書!
  • 研修医や学生への指導経験豊富な執筆陣が、臨床研究とエビデンスをもとに西洋医学的アプローチで漢方の使い方を解説します。
  • エビデンスに基づいたファーストチョイスだけでなく、臨床経験を盛り込んだセカンドチョイスや類似の漢方の使い分けまで、具体例を多数紹介。
  • 外来でさっと調べてすぐに使える一冊です。

目次

第1部漢方処方におけるEBM
EBMと診療ガイドライン
診療ガイドラインと漢方薬

第2部各疾患と漢方薬のエビデンス
1 呼吸器疾患
感冒・インフルエンザ
気管支炎,咳嗽

2 消化器疾患
感染性胃腸炎
機能性ディスペプシア
過敏性腸症候群
便秘・イレウス

3 循環器疾患
高血圧
低血圧症,めまい
動悸

4 婦人科疾患
頭痛
肩こり
ホットフラッシュ
冷え症

5 老年期疾患,認知症
認知症の周辺症状ないし行動・心理症状
認知症の中核症状
誤嚥性肺炎の再発予防

6 精神・行動異常
不眠
心的外傷後ストレス障害

7 耳鼻咽喉科疾患
アレルギー性鼻炎
口内炎
咽喉頭異常感

8 皮膚科・形成外科疾患
疣贅
褥瘡

9 眼科疾患
麦粒腫

10 整形外科疾患
変形性膝関節症
筋肉痛,ぎっくり腰

11 応用編
小児科疾患
災害時における漢方薬

第3部漢方薬と生薬
生薬
漢方薬
注意点

◦ 漢方薬・構成生薬一覧表

コラム
漢方製剤の実薬と偽薬の問題
小児への五苓散投与の工夫
胃食道逆流症に対する漢方薬とPPIの併用は?
大建中湯処方のコツ
FDとIBSの合併
腎臓病と漢方
低血圧+冷え,めまい,耳鳴り,頭痛など
五臓と抑肝散
遠志
エヘン虫と嚥下機能
ブシ末と疼痛管理
統合医療(integrative medicine)
海外製の「漢方薬」?

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序文

2014年にはかかりつけ医の92.7%が漢方薬を処方し診療を行っていると報告されており1),一般診療において漢方薬処方が増加し,漢方は臨床上重要な位置を占めていることが示されています。東北大学病院総合診療科でも2016〜2017年の新患の14%に漢方薬が処方され,その半数以上は症状が軽減していました2)。総合診療外来では,器質的疾患を除外した後に漢方薬が処方されることが多いという傾向もありました。このように,一般外来や総合診療外来で広く漢方薬が処方されるようになってきています。
2001年の医学教育モデル・コア・カリキュラムの改訂後よりすべての医学部で漢方の授業が取り入れられるようになりましたが,医師になってから実際に処方する際には知識が処方に結び付きにくいのが実状のようです。東北地方の基幹病院にご協力いただき,初期研修医を対象にアンケート調査を実施したところ,64%は初期研修中に漢方薬処方の経験があり,74%が研修中の漢方の学習を希望していました。処方経験のない研修医は,漢方についての理解不足を理由に挙げていました3)。いつも,研修医の先生方から,「漢方薬を処方したいのですが,よくわからなくて……」と相談をいただき,「この患者さんに,まずはどの漢方薬を処方したらいいですかね?」と一緒に考え,診療をしながらともに学んでいます。
本書では,あまり漢方に馴染みのない先生方を対象に内容をまとめました。目の前の患者さんに漢方薬を処方しようと考えた時に,外来で簡単に読みながら勉強できるように工夫しました。思考のプロセスは,西洋医学の知識を得る際の流れに合うように心がけています。以下の流れでページを構成しました。


① まずは,論より証拠から! 症状や病態に対する漢方薬処方の臨床研究を紹介し,それを参考に処方してみた症例の提示
② 既報を参考に処方しただけでは改善しないこともあり,次に行う処方の変更もしくは追加を提示
③ 該当する症状や病態について複数の臨床研究報告があれば,その紹介
④ 漢方薬の作用機序についても,現段階で報告されているものを可能な範囲で紹介
⑤漢方薬を処方する際の注意点や副作用を紹介

全体として,漢方的な概念に多くは触れず,臨床・基礎研究と漢方薬という視点で処方の選択を進め,コラムで漢方についての臨床経験や豆知識を入れて広がりを持たせました。また,本書には災害時の漢方治療の応用なども盛り込まれています。読者のみなさんが本書により漢方に興味を持ち,次に本格的な漢方医学の学習にステップアップされることを心から期待しています。

(本書では,製薬会社ごとに漢方薬の組成・性状,用法・用量が異なることから,一般的な例として漢方薬の用法・用量を記載しています。各社の詳細につきましては,添付文書をご確認下さい)

参考文献
1) 大西洋子, 他: 日臨内科医会誌. 2014; 29(2) : 284-9.
2) 高山 真, 他: 東北大学病院総合診療科を受診し漢方治療を行った症例の特徴と経過. 第9回日
本プライマリ・ケア連合学会2018学術大会発表.
3) Takayama S, et al :Tohoku J Exp Med. 2016; 240(3) : 235-42.


2018年3月  髙山 真

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