米ラスカー財団は9月9日、2026年ラスカー賞を筑波大の柳沢正史国際統合睡眠医科学研究機構長・教授、中外製薬の研究者らに授与すると発表した。柳沢氏には「アルバート・ラスカー基礎医学研究賞」、中外製薬研究者には「ラスカー・ドゥベーキー臨床医学研究賞」が贈られる。授賞式は9月17日にニューヨーク市内で開催される。

ラスカー受賞が決まった柳沢教授(筑波大HPより)
柳沢氏の受賞は「覚醒維持を促す神経ペプチド・オレキシンの発見と、オレキシンの欠乏により過眠症・ナルコレプシーが発病することの解明」を評価したもの。
柳沢氏は、強い生理活性を持つオレキシンを脳内で発見し、その受容体が脳特異的に発現することを1998年に世界に先駆けて報告。翌年、オレキシンを欠損する遺伝子変異マウスを作製し、ヒトの過眠症・ナルコレプシーによく似た行動異常が起こることを見出した。
■不眠症・ナルコレプシー治療薬開発につながる
柳沢氏の研究成果は、睡眠障害の治療に向けた創薬研究に結びつき、不眠症治療薬としてオレキシン受容体拮抗薬が開発された。さらに、ナルコレプシーの根本治療薬としてオレキシン受容体作動薬も開発され、今年8月、日本国内でも、武田薬品工業が創製したオレキシン2受容体選択的作動薬「オーゼイフル錠」(一般名:オベポレクストン)がナルコレプシータイプ1治療薬として承認された。
受賞決定を受け、柳沢氏は「ラスカー賞受賞は身に余る光栄。睡眠科学という世の中であまり大きな注目を受けていなかった研究分野で、このような最高峰の学術賞をいただけたことは、今後、この分野のさらなる研究発展を期待するものとして大変勇気づけられる」とコメントした。
■中外製薬の服部氏ら、血友病A治療に貢献
臨床医学研究賞の受賞が決まった中外製薬の研究者は、服部有宏、北沢剛久、井川智之の3氏。血液凝固第Ⅷ因子の欠乏により血を固める働きが弱くなる「血友病A」の治療に新たな道を切り拓いた研究が評価された。
服部氏らは、血液凝固第Ⅷ因子の機能をバイスペシフィック抗体で代替するという発想を生み出し、血友病A治療薬「ヘムライブラ」(一般名:エミシズマブ)の開発につなげた。
ラスカー賞は1945年にアルバート・ラスカー夫妻によって創設された米国で最も権威のある生物医学研究賞。過去のラスカー賞受賞者のうち101人がノーベル賞を受賞している。日本人のラスカー賞受賞は2014年の森和俊京大特別名誉教授以来となる。
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