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コレステロールが高い人は和食がよい?:脂質異常症の食事療法【見直し!脂質異常症】

登録日: 2026.08.24 最終更新日: 2026.08.24

亀山詞子 (日本女子大学食科学部栄養学科講師)

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コレステロールが高いといわれたら,食事は和食にしたほうがよいのでしょうか。和食には,魚や大豆,野菜,海藻などを取り入れやすい一方,料理によっては塩分や脂質を多く含むため,単に「和食なら健康的」とはいえません。脂質異常症の人が心がけたい食事の基本と,動脈硬化予防のために推奨されている「The Japan Diet」,毎日の食事に取り入れるポイントについて解説します。

Point
▶脂質異常症の食事療法では,エネルギーは適正な体重を維持する量とし,脂質の量と質の改善(飽和脂肪酸,トランス脂肪酸の制限とn-3系多価不飽和脂肪酸の摂取増加),食物繊維の摂取増加,食塩制限を行い,動脈硬化の予防を図る。
▶和食は伝統的に健康的な食品選択と調理法の要素を含むが,食塩や脂質の多い料理もあり,料理の内容を考慮して勧める必要がある。
▶血清脂質の改善と動脈硬化性疾患の予防のために,「肉の脂身や動物脂(牛脂,ラード,バター),加工肉を控え,大豆,魚,野菜,海藻,きのこ,果物,未精製穀類を取り合わせて食べる,減塩した日本食パターンの食事」が「The Japan Diet」として推奨されている。
▶The Japan Dietは,「和食」の特徴として日本人が古くから摂取してきた食材を用い,動脈硬化性疾患予防のための栄養処方に見合った食事を実践するためのコンセプトであり,脂質異常症患者にも推奨される。

1 脂質異常症の食事療法

脂質異常症の食事療法の目的は,脂質異常症の改善と併せて動脈硬化性疾患の発症・進展の予防をすることである。脂質異常症のみならず,肥満,糖尿病,高血圧などの動脈硬化性疾患における複数の危険因子の改善をめざして,エネルギーおよび栄養素等摂取量の是正を図ることが必要である。『動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版』で示されている,動脈硬化性疾患予防のための食事療法に準じた栄養素などの指示量を目標とする1)
肥満者においては,総エネルギー摂取量を制限して減量し,適正な体重を維持することが推奨されている。減量により,LDL-C,TGの低下と,HDL-Cの上昇が期待できる。
脂肪エネルギー比率,飽和脂肪酸,トランス脂肪酸,コレステロール,アルコール,食塩の摂取を減らし,n-3系多価不飽和脂肪酸〔エイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)〕,食物繊維の積極的な摂取が勧められる。
患者がエネルギーおよび栄養素の指示量に見合った食事療法を実践するために,1日に摂取する食品の種類と目安量を示し,それを料理として食べられるように教育する。その際には,患者の食事摂取の状況を把握し,嗜好も考慮して改善点を示すことが必要である。

2 脂質異常症患者に「和食」を勧めるとよいのか?

「和食」は,日本人の食事を表す広い概念である。一般に,広く日本の風土と社会で発達してきた日本の食事は,「洋食」に対して「和食」と呼ばれている。ユネスコ無形文化遺産に登録された「和食;日本人の伝統的な食文化」では,日本人の食文化を「和食」としている。和食の特徴のひとつとして,「栄養バランスに優れた健康的な食生活」が挙げられている2)
日本人の食事が健康的と言われた背景には,1960年代に行われた国際共同研究において,日本人は高血圧が多かったにもかかわらず,欧米諸国の人々に比べて冠動脈疾患死亡率が低く,その要因として,日本人の飽和脂肪酸の摂取量が少ないことが注目された3)。当時の日本人の食事は,肉類,乳製品,油脂類の摂取量が少なく,精製度の低い米を主とする穀類,大豆類,魚の摂取が多かった4)。しかし,その後,日本人の食事パターンは大きく変化し,かつて日本人の食事の特徴とされた穀類,野菜類,魚介類の摂取が減り,肉類,牛乳・乳製品,動物性脂肪の摂取量が増加した。現在では,肉類が魚介類の摂取を上回っており,日本人の食事が健康的とは言いがたい現状となっている。
和食としてイメージされる日本各地で食べられてきた料理の中には,味つけが濃く,食塩が多く含まれる料理が多くある。また,油脂を多用した料理もある。食塩や脂が多い料理は,動脈硬化性疾患のリスクとなりうる。このため,単に「和食が良い」とは言い切れず,脂質異常症患者に勧められる要素と,リスクとなる要素の両方を考慮する必要がある。


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