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コレステロールが高い人の食事:結局,卵は食べてもよい?【見直し!脂質異常症】

登録日: 2026.08.10 最終更新日: 2026.08.10

上田之彦 (枚方公済病院総合内科健康管理センター長)

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「コレステロールが高い」といわれたら,卵は食べないほうがよいのでしょうか。2015年以降,食事から摂取するコレステロールに対する考え方は大きく見直されましたが,日本では脂質異常症の重症化予防の観点から,現在もコレステロール摂取量への配慮が推奨されています。本コラムでは,ガイドラインの変遷や最新の研究結果を踏まえ,食事性コレステロールとLDLコレステロールの関係,そして卵との付き合い方を解説します。

Point
▶2015年に米国農務省と米国保健福祉省から,食事におけるコレステロールの制限は必要ないと発表された。
▶日本では厚生労働省から「日本人の食事摂取基準(2015年版)」が発表され,コレステロールの摂取基準が撤廃された。
▶米国で行われた6件のコホート研究のデータをプールして解析した研究で,食事性のコレステロール摂取量,卵摂取量と冠動脈疾患発症率,総死亡率は相関することが明らかになった。このことから,「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では,日本動脈硬化学会の「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版」をもとに,脂質異常症の重症化予防の目的からは,コレステロール摂取量は200mg/日未満にとどめることが望ましいとされた。これは,「日本人の食事摂取基準2025年版」でも継承されている。
▶食事から摂取されたコレステロールは,直接,LDL-C値に反映されるわけではない。
▶高LDL-C血症の本態は,肝細胞でのLDL受容体発現量の低下によって生じる。
▶日本人の卵によるコレステロール摂取の割合は,欧米に比べて大きい。

1 日本および米国でのコレステロール摂取基準の撤廃

2015年2月,米国農務省,米国保健福祉省は「2015 Dietary Guidelines」として,それまでコレステロールの1日摂取量を「300mgまで」としていたのを撤廃し,「コレステロールは過剰摂取を制限しなければならない栄養素ではない」と発表した1)
日本でも2014年3月に,厚生労働省による「日本人の食事摂取基準(2015年版)」が発表されており,その中でもそれまでのコレステロールの摂取基準であった「男性750mg/日,女性600mg/日」という上限値が撤廃された2)
これに対し,日本動脈硬化学会は「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版」で,脂質異常症の重症化予防の目的からは,コレステロール摂取量は200mg/日未満にとどめることが望ましいとし3),「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」でも高LDL-C血症患者においては,LDL-Cを低下させるためにコレステロール200mg/日未満と飽和脂肪酸7%E未満にすることを推奨するとした4)。「日本人の食事摂取基準(2020年版)」でも,脂質異常症の重症化予防の観点からコレステロールを200mg/日未満にとどめることが望ましいとされた5)。これは,「日本人の食事摂取基準(2025年版)」でも継承されている6)
高LDL-C血症を呈していない人でも,コレステロール摂取量が増加すればLDL-Cが上昇することは明らかであり,目標量を算定する十分な科学的根拠は得られていないが,動脈硬化性疾患予防の観点からは低めに抑えることが望ましい。

2 血清LDL-C値を調整しているのは 肝細胞のLDL受容体発現量である

食事中のコレステロールは中性脂肪とともに小腸で吸収され,小腸粘膜内でカイロミクロンというリポ蛋白に組み込まれ,血中に入る。カイロミクロンは,毛細血管壁に存在するリポ蛋白リパーゼ(LPL)の働きで中性脂肪をエネルギー源として失い,カイロミクロンレムナントとなり,肝細胞に取り込まれる。
カイロミクロンレムナントから取り込まれた,および,肝細胞で生合成されたコレステロールは,超低比重リポ蛋白(VLDL)として血中に分泌され,同じくLPLの働きで中性脂肪を失い,中間比重リポ蛋白(IDL),低比重リポ蛋白(LDL)となり,血中で運ばれてあらゆる細胞へのコレステロール供給担体として働く。
ここで細胞へのLDL取り込み口となるのがLDL受容体である。体内で最も多くLDL受容体を発現しているのは,肝細胞である。このため,血中LDL粒子量を調節している因子は,肝細胞のLDL受容体発現量ということになる。
細胞表面のLDL受容体発現量は細胞内のコレステロール含量による調節を受けており,細胞内のコレステロール含量が増加するとLDL受容体発現量が減少する,いわゆるネガティブフィードバックを受ける。すなわち,食事由来のコレステロールがカイロミクロンレムナントを介して肝細胞中に蓄積すると,肝細胞表面のLDL受容体が減少し,高LDL-C血症を引き起こすのである(図1)。


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