「読む」と「書く」はきわめて知的な営為である。我々は「読む」というインプット行為により知性を高め,「書く」というアウトプットにより,さらに知性を高める。「書く」ためには「読む」というインプットが前提となり,インプットなしのアウトプットはありえない。また,アウトプットを重ねることで,さらにより質の高い「インプット」の必要が生じてくる。
何が申し上げたいかというと,研修医が自らの能力を高めたければ「読み」,そして「書く」のが大切だ,ということだ。
「自らの能力を高めるために」というのがポイントだ。よって,AIに読んでもらい,AIに書いてもらっても,自分の能力は高まらない。
現代社会において,AIというツールは(ほぼ)必須であり,これなしで生きていくのは難しい。プロの医者ならば,なおさら難しい。私も医療・医学情報収集にはほぼAIを活用しており,AIなしの日々に戻るのはまっぴらゴメンである。
要するに,AIは壁打ちの相手として,自らを鍛えるためのツールとしては最適だということだ。「AI,壁打ちやっといてね」と寝そべっていてはダメだ,ということだ。おわかりだろうか。
本書は,レジデントのための医学論文の読み方と書き方,さらにはAIの活用方法を指南する。文字どおり「オールインワン」な本なのだ。私が研修医のときには,論文の読み方を教えてくれる本はなかった。書き方を教えてくれるツールもなかった。もちろん,AIもなかった。今のレジデントは羨ましい。
本書で特に熟読して頂きたいのは,第3章の「レター攻略法」である。なぜなら,レター執筆は最もコスパの良い学習法のひとつだからだ。
レター執筆には,基本的にカネはかからない。そして,本書で言う「コモンレター」の執筆において最も重要なのは,「当該論文を正確に読む」ことである。たとえば,著者らがリミテーションズに述べている内容をレターでクリティークしても,レターとしては失当だ(リジェクトされる)。
レター執筆は,「読む」と「書く」を同時に,しかも無料で鍛えてくれる。最小限のコストで巨大な利益が得られる。コスパ最高だぜ。
ぜひ本書を読んで,安上がりに成長してほしい。
