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実際の患者を初診で目の前にしたときの思考の順序に沿って疾患を理解できる『レジデントのためのリウマチ・膠原病教室』【書評】

登録日: 2026.01.26 最終更新日: 2026.02.21

萩野 昇 (帝京大学ちば総合医療センター第三内科学講座(リウマチ)准教授)

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本書『レジデントのためのリウマチ・膠原病教室』は,本邦の卒前・卒後教育において相対的に軽視されがちな膠原病・リウマチ性疾患の診療を,体系的かつ実践的に学べる点で大きな価値をもつ一冊である。

リウマチ・膠原病領域は,しばしば「難解」であることが(誇らしげに?)語られがちだが,著者はその悪癖に与せず,「わかる部分を明確にする」という姿勢を貫いている点が特筆に値する。ここで言う「わかる部分を明確にする」には2つの意味があり,理解・納得可能な部分については丁寧に言語化すること,そして,理解が難しい領域をあいまいなまま放置せず,どこからが“難しい”のかを明確に切りわけることである。とある漫画の登場人物のセリフに「納得は全てに優先する」というものがあるが,「納得されたこと」だけが臨床現場で本当に使える知識であると思う。

構成は総論と各論に大別され,各論の「診断」項目が「疑う→せまる→鑑別する→フォローする」という統一的な順序で記述されている点は,本書の“特徴”ではなく,まさに“特長”と呼ぶべき工夫である。初学者は,実際の患者を初診で目の前にしたときの思考の順序に沿って疾患を理解でき,自然と臨床推論の流れを身につけられる。また,経験豊富な臨床医にとっても,著者の思考と対話するように読み進められ,日常診療の整理や再確認の契機となるだろう。

箇条書きを効果的に用いた記載はテンポよく読み進めることができ,読み終えたときには重要な論点が自然に頭に残る。初学者向けテキストに求められる「負荷をかけずに理解が積み上がる」構造がよく練られており,知識の取っかかりをつくる入門書としてきわめて優れている。

総じて,本書はレジデントのみならず,あらゆる段階の臨床医が恩恵を受ける教科書であると言える。リウマチ・膠原病領域の学習において,「わかる部分を明確にする」ための第一歩として推奨したい。

*Huggy’s Memo:前後の正確な引用は以下の通り。

「『納得』は全てに優先するぜッ!! でないとオレは『前』へ進めねぇッ! 『どこへ』も! 『未来』への道も! 探す事は出来ねぇッ!!」─ ジャイロ・ツェペリ(荒木飛呂彦『ジョジョの奇妙な冒険 Part7 STEEL BALL RUN』集英社, 第8巻 第35話)


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