レジデントのためのリウマチ・膠原病教室
読みやすく分かりやすい、初学者におすすめの入門書
目次
免疫ってなに?
自然な免疫と、獲得する免疫
自然免疫のしくみ
獲得免疫のしくみ
免疫と病気のカンケイ
第2章 リウマチ・膠原病のキホン
[1] リウマチ・膠原病の分類
リウマチ・膠原病をグループに分けて整理しよう
関節炎のグループ
抗核抗体に関連する疾患のグループ
血管炎のグループ
その他のグループ
[2] リウマチ・膠原病の診断
リウマチ・膠原病をどうやって診断するのか
膠原病診断の4つのステップ
Step 1 どのように膠原病を「疑う」のか
Step 2 どのように膠原病に「迫る」のか
Step 3 どのように他の疾患を「鑑別」するのか
Step 4 どのように膠原病を「フォロー」するのか
第3章 診察のポイント
まず手を見てみよう
手の関節のおさらい
手指関節の診かた
肩関節の診かた
膝関節の診かた
第4章 検査の考え方
[1] 炎症マーカー
CRP ☞炎症マーカーの王様
赤沈 ☞CRPとの合わせ技で使おう
免疫グロブリン ☞液性免疫を覗く窓
補体 ☞玄人好みの渋いヤツ
[2] 抗核抗体
抗核抗体とは
抗核抗体陽性なら膠原病か?
どんなときに測定すべきか?
疾患特異的抗体
第5章 ステロイド
[1] ステロイドの使い方
ステロイドってなに?
ステロイド薬の種類
ステロイドの投与量
どのように減量するか?
[2] ステロイドの副作用
代表的な副作用を整理しよう
免疫抑制の副作用
代謝・内分泌系の副作用
副腎の副作用
骨・その他の副作用
第6章 関節痛の診かた
[1] 関節の構造
関節とその周囲の構造
[2] 関節痛の診かた
痛いのは関節か、関節外か?
関節痛は炎症性か、非炎症性か?
関節炎は急性か、慢性か?
関節炎は単・少数関節か、多関節か?
[3] 関節炎の鑑別
関節炎に名前をつけよう
単関節炎の考え方
関節穿刺と関節液検査
多関節炎の考え方
第7章 関節リウマチ
関節リウマチとは
[1] 関節リウマチの症状
関節症状
関節外症状
[2] 関節リウマチの検査
血液検査
単純X線
関節エコー
[3] 関節リウマチの診断
どうやって診断するのか
分類基準の使い方
[4] 関節リウマチの治療
関節リウマチの治療の考え方
リウマチ治療薬の分類
メトトレキサート ☞リウマチ治療の中心選手
従来型DMARDs ☞貴重なユーティリティプレーヤー
生物学的製剤 ☞リウマチ治療の頼れる切り札
分子標的治療薬 ☞新世代のエース
関節リウマチ治療のガイドライン
[5] 関節リウマチ類縁疾患
リウマチ性多発筋痛症の特徴
リウマチ性多発筋痛症の診断
リウマチ性多発筋痛症の治療
RS3PE症候群
第8章 脊椎関節炎
脊椎関節炎とは
[1] 体軸性脊椎関節炎
体軸性脊椎関節炎とは
体軸性脊椎関節炎の特徴
体軸性脊椎関節炎の診断
体軸性脊椎関節炎の治療
[2] 乾癬性関節炎
乾癬性関節炎とは
乾癬性関節炎の特徴
乾癬性関節炎の診断
乾癬性関節炎の治療
[3] その他の脊椎関節炎
反応性関節炎
炎症性腸疾患関連関節炎
第9章 その他の関節炎
変形性関節症
痛風
偽痛風
化膿性関節炎
第10章 抗核抗体に関連する疾患
[1] SLEの診断
SLEとは
SLEの特徴
SLEの診断
SLEの新分類基準
ループス腎炎
[2] SLEの治療
SLE治療の概要
ヒドロキシクロロキン ☞SLE治療の基礎薬
ステロイド ☞今も昔も治療の主役
免疫抑制剤 ☞もう1つの軸となる薬
SLE治療の実際
[3] 皮膚筋炎・多発性筋炎
皮膚筋炎・多発性筋炎の特徴
皮膚筋炎・多発性筋炎の診断
皮膚筋炎・多発性筋炎の分類基準
皮膚筋炎・多発性筋炎の治療
[4] 全身性強皮症
全身性強皮症の特徴
全身性強皮症の診断
全身性強皮症の分類基準
全身性強皮症の治療
[5] MCTD
混合性結合組織病
[6] シェーグレン病
シェーグレン病
[7] 抗リン脂質抗体症候群
抗リン脂質抗体症候群
第11章 血管炎
血管炎を整理しよう
[1] 大型血管炎
高安動脈炎
巨細胞性動脈炎
[2] 中型血管炎
結節性多発動脈炎
[3] 小型血管炎(ANCA関連血管炎)
顕微鏡的多発血管炎の特徴
顕微鏡的多発血管炎の診断
顕微鏡的多発血管炎の分類基準
顕微鏡的多発血管炎の治療
多発血管炎性肉芽腫症
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の診断
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の分類基準
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の治療
[4] 小型血管炎(免疫複合体性血管炎)
IgA血管炎
第12章 その他の膠原病
成人発症スティル病
ベーチェット病
IgG4関連疾患
TAFRO症候群
第13章 リウマチ・膠原病エマージェンシー
抗菌薬が効かない肺炎
急激な血小板減少・貧血と臓器障害
ステロイドで腎機能が悪化
急に見えなくなった
急に歩けなくなった
リウマチの悪化?
膠原病科医が飛び起きる瞬間
序文
かくいう私も、学生の頃はリウマチ・膠原病の勉強にかなり苦戦しました。授業では聞いたことがない病気が次々と登場し、肺やら腎臓やら皮膚やらに色々な症状が出て、ナントカ抗体もたくさん出てきて……。正直、わけが分かりませんでした。そもそも、本来は感染症のときに活躍する心強い味方のはずの免疫が、逆に悪さをして病気の原因になっているというのも、どこか腑に落ちませんでした。
病態も症状も抗体もよく分からない。免疫が悪さをするのも腑に落ちない。そんな私でしたが、臨床実習などで実際の症例を目の当たりにしたり、書籍や先輩医師から学ぶことで、少しずつ「そうだったのか!」と理解を進めることができました。古い例えで申し訳ありませんが、最初の頃は初代ゲームボーイのように白黒でカクカクの解像度だったのが、どんどん携帯ゲーム機が進化してグラフィックが綺麗になっていったように、見える景色の解像度が徐々に上がっていくようになりました。
この本では、できる限り分かりやすい表現で、噛み砕いて説明するように心がけました。分かりやすさを優先するために、厳密には不正確な記述になっている箇所もありますが、その点はご容赦ください。本書を通じて、皆さんのリウマチ・膠原病に対する解像度が上がって、少しでも景色が見えやすくなる助けになれればと願っています。
最後になりましたが、本書の執筆にあたり、多大なるご尽力をいただいた日本医事新報社編集部の皆様に深く感謝申し上げます。可愛く親しみやすいタッチのイラストで本書を明るく彩ってくださったDr.ペペペ先生(@ppplatelet)にも心よりお礼を申し上げます。また、これまでご指導くださった多くの先生方に、この場を借りて厚く御礼申し上げます。そして、様々な形で執筆をサポートしてくれた妻、見守ってくれた両親に深く感謝いたします。
中村海人
レビュー
萩野 昇 (帝京大学ちば総合医療センター第三内科学講座(リウマチ)准教授)
【書評】実際の患者を初診で目の前にしたときの思考の順序に沿って疾患を理解できる『レジデントのためのリウマチ・膠原病教室』
本書『レジデントのためのリウマチ・膠原病教室』は,本邦の卒前・卒後教育において相対的に軽視されがちな膠原病・リウマチ性疾患の診療を,体系的かつ実践的に学べる点で大きな価値をもつ一冊である。
リウマチ・膠原病領域は,しばしば「難解」であることが(誇らしげに?)語られがちだが,著者はその悪癖に与せず,「わかる部分を明確にする」という姿勢を貫いている点が特筆に値する。ここで言う「わかる部分を明確にする」には2つの意味があり,理解・納得可能な部分については丁寧に言語化すること,そして,理解が難しい領域をあいまいなまま放置せず,どこからが“難しい”のかを明確に切りわけることである。とある漫画の登場人物のセリフに「納得は全てに優先する」というものがある*が,「納得されたこと」だけが臨床現場で本当に使える知識であると思う。
構成は総論と各論に大別され,各論の「診断」項目が「疑う→せまる→鑑別する→フォローする」という統一的な順序で記述されている点は,本書の“特徴”ではなく,まさに“特長”と呼ぶべき工夫である。初学者は,実際の患者を初診で目の前にしたときの思考の順序に沿って疾患を理解でき,自然と臨床推論の流れを身につけられる。また,経験豊富な臨床医にとっても,著者の思考と対話するように読み進められ,日常診療の整理や再確認の契機となるだろう。
箇条書きを効果的に用いた記載はテンポよく読み進めることができ,読み終えたときには重要な論点が自然に頭に残る。初学者向けテキストに求められる「負荷をかけずに理解が積み上がる」構造がよく練られており,知識の取っかかりをつくる入門書としてきわめて優れている。
総じて,本書はレジデントのみならず,あらゆる段階の臨床医が恩恵を受ける教科書であると言える。リウマチ・膠原病領域の学習において,「わかる部分を明確にする」ための第一歩として推奨したい。
*Huggy’s Memo:前後の正確な引用は以下の通り。
「『納得』は全てに優先するぜッ!! でないとオレは『前』へ進めねぇッ! 『どこへ』も! 『未来』への道も! 探す事は出来ねぇッ!!」─ ジャイロ・ツェペリ(荒木飛呂彦『ジョジョの奇妙な冒険 Part7 STEEL BALL RUN』集英社, 第8巻 第35話)