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人工呼吸器をつけた小児の両親が延命治療を中止したいと言った場合[たんぽぽ先生の〈パターンで考える〉在宅医療の実践(16)]

登録日: 2025.12.23 最終更新日: 2026.06.19

永井康徳 (医療法人ゆうの森たんぽぽクリニック)

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在宅医療における最も困難な局面の1つは,生命維持装置を装着した小児患者さんのご家族から,延命治療の中止を求められることかもしれません。特に人工呼吸器を装着した重篤な状態の小児に関して,ご家族の苦悩は計り知れません。成人患者とは異なり,小児では本人の意思確認が困難であり,ご家族の代理決定にゆだねられることが多くあります。加えて,わが国では,延命治療の中止に関する明確な法的・倫理的ガイドラインが確立されておらず,現場の医療者の個々の判断にゆだねられているのが現状です。

今回は,長期人工呼吸管理を要する脳性麻痺の小児患者さんのケースを通じて,在宅医療における延命治療中止への対応について考えます。この問題は,医学的判断のみならず,倫理的・法的・社会的側面を包含する複合的で高度な課題であり,在宅医療に携わる医師にとって,避けて通れない重要なテーマだと思います。

Case:脳性麻痺の小児患者の母親の訴え

アヤカちゃん(5歳,仮名)は,脳性麻痺で人工呼吸器を装着しています。病歴やケアの内容などの情報は表1の通りです。このアヤカちゃんのお母さんから,次のような相談を受けました。

「5年間ずっと,アヤカを見てきました。アヤカが長生きしたいんだったら,これからもずっと見てあげたい。アヤカが生きたいというなら,私たちが死ぬまで見てあげたいと思っています。これまでも何度も,『助けられない』と言われてきました。ここ1年は悪化して,入院の間隔が短くなり,何度も入院して,入院するたびに『今が山だ』と言われてきました。今回の入院時は,良くなって家に帰れる確率はゼロとまで言われました。

これまでの病院主治医には,『アヤカは痛い治療やしんどい治療をもう十分頑張ってきたから,これ以上はしないでほしい』と言って,先生もそれを考慮してくれました。強心薬や昇圧薬,心臓マッサージはしないでほしいと毎回お願いしていて,それを理解してくれていたんです。

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