■地域フォーミュラリの実施数「25地区」に拡大
──骨太方針2025に政府の方針として「地域フォーミュラリの全国展開」が明記されたことで、地域フォーミュラリへの注目度が高まっています。現在、地域フォーミュラリはどこまで拡大しているのか、最新の実施状況を教えてください。
今井 地域フォーミュラリの策定件数について厚生労働省が5月に調査し18件という結果を公表していますが、学会の調査では、地域フォーミュラリは11月現在25地区で実施され、23地区で準備が進められており、合わせて約50件に達しています。
2021年度段階では、実施しているのは山形県酒田地区と大阪府八尾市地区のみでした。2023年7月7日に地域フォーミュラリの定義を示した厚労省通知が出され、それから2年後に自民・公明・維新の3党合意に基づいて骨太方針に「地域フォーミュラリの全国展開」が盛り込まれたことのインパクトは大きく、大都市圏も含め準備を始める地域が増えています。2026年度予算編成でモデル事業の実施などが決まれば、さらに動きが加速していくと思います。
■地域支援体制加算への要件化「関係者の合意得やすい」
──財務省は11月5日の財政審財政制度分科会資料で、調剤基本料の地域支援体制加算の算定要件に「地域フォーミュラリへの参画」などを追加する案を示していますが、診療報酬での評価はどうあるべきと考えていますか。
今井 財政審の資料には地域支援体制加算で「地域フォーミュラリへの参画」「OTC薬の普及啓発」「リフィル処方の促進」などを評価対象に加えるべきとありますが、この中で最も関係者の合意が得られやすいのは、デメリットがない地域フォーミュラリだと思います。
地域フォーミュラリが実施されれば、医師は処方の絞り込みがしやすくなり、薬局・卸も在庫管理がしやすくなる。製薬会社は少量多品目の生産体制を変えることができ、保険者もメリットを享受できる。私たちとしてはメリットしかないのではないかと考えています。
2026年度診療報酬改定で地域支援体制加算などの算定要件として「地域フォーミュラリへの参画」を入れ、効果を検証する。地域フォーミュラリを活用する医療機関や薬局に直接点数を付けるのは、その次の改定(=2028年度改定)からになるのではないかと期待しています。

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