社会保障審議会医療保険部会は11月20日、入院時の食費の基準額見直しを巡り議論した。食材料費の高騰が続く現状を踏まえれば基準額の引上げはやむを得ないとの意見が大勢を占めた。先行して審議が行われた中央社会保険医療協議会総会でも引上げの方向で概ね意見の一致をみている。
入院時の食事の基準額(食事療養基準額)については24年6と25年4月に相次いで引上げが行われ、現行の基準額は1食当たり690円。その際、基準額の増額分はすべて患者自己負担に充てられ、一般所得者の負担額は510円に設定されている。
ただ直近の25年4月の引上げ以降も食材料費の高騰は収まる気配はなく、医療機関経営に重くのしかかっている。このため城守国斗委員(日本医師会常任理事)は、「栄養管理を行った上での提供であるにもかかわらず1食当たり690円というのはコストの限界を超えている」と訴え、基準額の引上げを強く要望した。
■基準額=患者負担の引上げと認識している─健保連・佐野委員
他の多くの委員も基準額の引上げは避けられないとの認識を示したが、佐野雅宏委員(健康保険組合連合会会長代理)は、「従来から食材料費、調理費は自己負担額に入ると整理されており、(基準額の引上げは)患者負担の引上げになると認識している」と過去2回の見直し時同様、増額分はすべて患者自己負担に充てるべきと主張。藤井隆太委員(日本商工会議所社会保障専門委員会委員)も、「食費は入院の有無にかかわらず日常生活においても発生する費用であり、自己負担への適切な反映が求められる」と述べた。
入院時の光熱水費の標準負担額も引上げの方向で概ね一致した。食費基準額、光熱水費標準負担額とも、具体的な引上げ額は年末の予算編成過程で決定する見通し。