政府は11月21日、物価高対策などを柱とした総合経済対策を閣議決定した。医療・介護対策では、赤字の医療機関などを中心に「医療・介護等支援パッケージ」の形で補助金を緊急措置する。政府は、経済対策の裏付けとなる2025年度補正予算案を編成し、11月28日に閣議決定、臨時国会に提出する方針だ。

21日の高市首相記者会見の資料より
高市早苗首相は総合経済対策決定後の記者会見で、「医療・介護等支援パッケージ」の中身について「賃上げに取り組む医療機関で働く従事者に対しプラス3%の半年分の賃上げ、介護従事者全般には月1万円の半年分の賃上げを措置する。加えて、診療材料費、病院建て替え、病床数適正化等の経営改善支援を行う」と説明。
事業継続に困難が生じている地域の基幹的な民間病院に対し「資本性劣後ローン」(借入金であるものの、金融機関の資産査定上、自己資本とみなすことができる融資)を提供する方針も示し、「攻めの予防医療」を含む健康医療安全保障の構築も進めるとした。
■OTC類似薬などの薬剤負担見直し、2026年度中に実施
総合経済対策ではこのほか、骨太方針2025に盛り込まれた社会保障制度改革を着実に実行するとして、OTC類似薬を含む薬剤自己負担について「現役世代の保険料負担の一定規模の抑制につながる具体的な制度設計」を今年度中に行い、2026年度中に実施する方針を明記。
2026年度診療報酬改定については「インフレ下における医療給付の在り方と現役世代の保険料負担抑制の整合性を確保しつつ、特に高度機能医療を担う病院の経営安定化と従事者の処遇改善(診療報酬体系の抜本的見直し)の観点や2040 年頃を見据えた医療機関(病院・診療所)の機能に着目した分化・連携と地域における医療の確保、地域包括ケアシステムの推進、多剤重複投薬対策等に留意しながら実施する」としている。