厚生労働省は10月29日の中央社会保険医療協議会薬価専門部会に、長期収載品の薬価の段階的引下げルールの適応時期の見直しや簡素化を提案し、大筋で了承された。支払側からは後発医薬品上市から10年後とされている適用時期の5年後への前倒しを求める意見もあった。
長期収載品の薬価については、後発医薬品の上市から5年後(Z2)と10年後(G1、G2、C)に後発医薬品への置換え率に応じた引下げルールが設けられている。いずれも特許が満了した先発医薬品(長期収載品)の市場からの撤退を促し、後発医薬品の使用推進につなげることを目的としたものだが、2024年10月の長期収載品の選定療養化で後発医薬品の数量ベースの使用割合が9割を超えたことから、厚労省はこれを一つの区切りとして現行ルールの見直しに着手することを部会に提言した。
見直案には、①後発医薬品上市から10年経過後とされているG1、G2等の適用時期の前倒し、②後発医薬品への置き換えが困難な品目を対象とし、後発医薬品の加重平均値の1.5倍の薬価での据え置きが容認されるG2の廃止▽Z2及びC(G1、G2の対象にならない品目等の追加的引下げルール)における2段階の薬価引下げ率の一本化─などを盛り込んだ。
薬価引下げ時期の前倒しとルール簡素化といった基本的な方向性には各側とも賛意を示したが、各論では意見が異なる部分もあった。
■後発医薬品上市から5年後からルールを適用、Z2は廃止を 支払側
長期収載品の選定療養化は後発医薬品の上市から5年以上経過した場合が対象になる。支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は薬価引下げルールもこれに揃えることを提案し、「後発医薬品への置換期間は5年、そこから先は後発医薬品価格までの引下げ期間に入るのが自然であり、Z2は廃止すべきだ」と述べた。
診療側の森昌平委員(日本薬剤師会副会長)は、「例えばG1、G2ルールを一本化した上で段階的な引下げ期間や引下げ率を見直すことが考えられるのではないか」と指摘。江澤和彦委員(日本医師会常任理事)はG2やZ2等における2段階の薬価引下げ率の見直しについて、「現行の運用状況を確認した上で検討してはどうか」と慎重な対応を求めた。