中央社会保険医療協議会総会は11月7日、入院時の食費および光熱水費を巡り意見を交わした。入院時の食費の基準額は2024年と25年に引き上げられたが、その後も食材費の高騰が続き、医療機関経営悪化の一因となっている。再度の引上げを求める診療側の要望に支払側も理解を示した。
入院時の食費は、1食当たりの総額(食事療養基準額)と自己負担額(標準負担額)を国が定め、その差額(入院時食事療養費)が保険から給付される。食事療養基準額は近年の食材費の高騰を踏まえ24年6月に30円、25年4月には20円の引上げが行われた。引上げ分はすべて患者の自己負担増で賄われ、現在の食事療養基準額は1食当たり690円、一般所得者の場合の自己負担額は510円となっている。
だが、依然として食材料費等の高騰が続いていることから、診療側の江澤和彦委員(日本医師会常任理事)は、「米の価格の高騰などもある中で栄養管理もした上で1食当たり690円というのは限界を超えている」と再度の引上げを要請。支払側も引上げの方向での検討に同意したが、「3年連続の負担増となった場合には患者の理解が得られるよう食事の質には最大限の配慮をお願いしたい」(松本真人委員・健康保険組合連合会理事)、「基本的には自己負担の引上げにより対応いただくものと認識している」(鳥潟美夏子委員・全国健康保険協会理事)などと注文をつけた。
食事の関係では、①嚥下調整食について、食材費とともに、患者の栄養管理やQOLの向上の観点から評価を検討する、②入院患者の食事に関するニーズの多様化を踏まえ、追加料金を徴収できる内容の明確化や基準額(現行は1食当たり17円)の引上げを検討する─ことも概ね了承された。
■入院時の光熱水費基準額も引上げの方向で検討、介護との格差も考慮
入院時生活療養費の光熱水費の基準額(総額)も足元の光熱・水道費の高騰や、介護保険の居住費(自己負担430円)と医療保険の光熱水費(同370円)で自己負担に60円の差が生じていることなどを考慮しつつ、基準額を引き上げる方向で見直しを検討することになった。