中央社会保険医療協議会総会は11月5日、包括期入院医療を巡り議論した。地域包括医療病棟等の評価における内科系と外科系の格差については是正、入院中にADLが低下した患者割合が5%未満であることなどを求める地域包括医療病棟の施設基準については緩和する方向で、各側がおおむね一致した。
地域医療包括病棟については「急性期一般入院料4」と同等の平均在院日数や重症度、医療・看護必要度、入院中にADLが低下した患者割合5%未満─などを求める厳格な施設基準が10対1急性期病棟などからの転換の障壁になっているとの声がある。高齢者や要介護者はその生理学的特徴から在院日数の延長やADL低下が起きやすく、地域包括医療病棟は同じ看護配置10対1の急性期病棟よりもリハビリの実施割合などが高いにもかかわらず、届出病棟の約4割が入院中のADL低下患者割合5%未満の基準を満たせていない実態がある。
このため診療側は、平均在院日数やADL低下割合、看護必要度に関する基準緩和を強く要望。支払側も次回改定での対応に賛同したが、その方法論では一律の基準緩和ではなく、85歳以上やADLが低下しやすい患者が多い病棟に対応を限定して救済措置や別基準を設けることなどを提案した。
一方、地域包括医療病棟と地域包括ケア病棟の医療資源投入量(=包括内出来高実績点数)の分析では、いずれの病棟においても内科系疾患が多い救急搬送からの入院や緊急入院の包括内出来高実績点数が、外科系疾患の多い予定入院よりも高いことが明らかになっている。現行評価は内科系疾患の多い病棟には不利な可能性があり、厚生労働省は①「地域包括医療病棟入院料」を現行の一律の評価から医療資源投入量に応じた評価体系に見直す、②地域包括ケア病棟の「初期加算」において救急搬送の場合と同様、緊急入院の場合も高く評価する─ことを論点として提示。各側ともこの方向での見直しをおおむね了承した。
■包括期入院医療を担う病院機能の評価も検討課題に
医療機関機能報告の導入を見据え、包括期入院医療を担う病院としての機能を救急搬送・下り搬送・緊急入院・自宅からの直接入院の受入件数や後方支援に関連した加算などを指標として新たに評価することも論点として提示された。各側から様々な意見が示されたものの、検討を進めること自体への反対はなかった。