厚生労働省の「地域医療構想及び医療計画等に関する検討会」は10月31日、急性期拠点機能を担う医療機関に手術等だけでなく、災害時や新興感染症発生時の対応なども求めていく方針を固めた。検討会では現在、新たな地域医療構想の策定ガイドラインに盛り込む内容の議論が進められている。
新構想では、急性期拠点機能を担う医療機関に医療資源投入量が多い手術等を集約しつつ、高齢者救急は主に高齢者救急・地域急性期機能を担う医療機関で対応することが想定されている。ただ、地域の医療需要や医療資源の状況によっては、急性期拠点機能で高齢者救急を受け入れざるを得ないケースや、高齢者に多い手術を高齢者救急・地域急性期機能医療機関で対応するケースも考えられる。このため厚労省は、両機能を担う医療機関の高齢者救急や手術等における役割分担を地域医療構想調整会議の協議事項に位置づけることを提案した。
さらに人員や症例が集約される急性期拠点機能医療機関には手術等だけでなく、人口規模や地域の実情に応じた役割を担うことが期待されるとし、急性期拠点機能の確保に向けた協議の中での議論を求めることも併せて提案。期待される役割の例には、①災害拠点病院、②感染症法に基づく医療措置協定の締結、③医師の臨床研修及び専門研修の実施、④地域における必要な病床確保のための積極的な役割(医療ニーズの変化に対応し、必要であれば病床の適正化等を実施)、⑤地域への医師派遣─の5点を挙げた。
■急性期拠点機能の確保や必要病床数運用に適切な範囲で構想区域を設定
構想区域の点検・見直しを巡っては、急性期拠点機能の確保等の提供体制の協議や必要病床数の運用に適切な範囲であるか、という視点で進めていくことも提言。区域の統合で基準病床数上の課題が生じるケースへの対応案も示した。例えば病床過剰区域と非過剰区域を統合する場合では、元々病床過剰であった区域も非過剰区域となり増床可能となってしまうことが考えられる。
このため、「広域な区域のうちの特定の地域で病床がすでに十分に存在するような場合等においては、当該区域内で増床が望ましい地域を整理することや、隣接する区域の病床の状況も合わせて増床を検討する等の運用方法を地域医療構想調整会議で議論することとして位置づける」と整理した。部会ではこれらの提案への反対意見はなかった。