中央社会保険医療協議会総会は10月29日、「療養病棟入院基本料」などを巡り議論した。この中で支払側は「療養病棟入院料2」における医療区分2、3の該当患者割合の基準を現行の5割以上から6割以上に引き上げることを要望。診療側は仮に引上げを行う場合には、新基準への移行期間を考慮した経過措置や救済措置の設定が不可欠と主張した。
2024年度診療報酬改定では「療養病棟入院基本料」の医療区分を疾患・状態の区分と処置等の区分に細分化する見直しが実施された。改定後の医療区分2、3該当患者割合の状況をみると、「療養病棟入院料1、2」ともほとんどの算定施設が基準を充足。特に「入院料2」では算定施設の98.5%で6割を超えていた。
一方、医療区分と医療資源投入量の分析では処置等の医療区分2について、例えば褥瘡治療中の肺炎への罹患など、複数項目に該当した場合は医療資源投入量(包括内出来高実績点数)が大きく増加することから、医療資源投入量に見合った評価となっていない可能性が示唆された。
このため厚労省は「療養病棟入院基本料」の論点として、①「入院料2」における医療区分2、3該当患者割合の基準のあり方、②処置等の医療区分2の項目に複数該当した場合の評価―などを提示した。
支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は、「入院料2」の医療区分2、3該当患者割合の基準値を最低でも6割以上に引き上げるよう要求。診療側の江澤和彦委員(日本医師会常任理事)は、「基準の厳格化により医療提供体制に支障を来さないようにすることが肝要だ」と述べ、仮に基準を引き上げる場合には経過措置や患者の状態の変化で一時的に基準を満たせなくなった場合の救済措置の設定が不可欠と指摘した。松本委員は、「入院料1」の基準値の9割以上への引上げも求めたが、診療側が強く反発した。
■処置等の医療区分2の複数項目該当は評価引上げの方向で一致
処置等の医療区分2の項目に複数該当した場合の取り扱いでは江澤委員が、「医療区分2から医療区分3に該当するよう評価を引き上げることを要望する」と話した。松本委員も「医療資源投入量に見合った評価にすることには異論はない」と賛同したが、点数設定が医療資源投入量よりも高い区分の適正化も併せて実施し、メリハリの効いた評価への見直しを求めた。