検索

×
絞り込み:
124
カテゴリー
診療科
コーナー
解説文、目次
著者名
シリーズ

■NEWS 応能負担や現役並み所得の判断基準などを議論─医療保険部会

登録日: 2025.10.29 最終更新日: 2025.10.29

お気に入りに登録する

社会保障審議会医療保険部会は10月23日、高齢者医療制度における高齢者の負担や窓口負担が3割となる現役並み所得の判断基準について議論した。負担能力のある高齢者にも応分の負担を求めることに積極的な意見と慎重な意見の両論が示された。

厚生労働省の分析データによると、1人当たり医療費と自己負担額は0〜69歳までは年齢の上昇に比例する形でともに増加するが、70歳以降はその傾向が変化。医療費は引き続き増えるが、自己負担額はそれまでよりも低く抑制される。高齢者の所得の状況をみると、給与所得等の伸びを背景に後期高齢者医療制度の被保険者1人当たり所得額は上昇傾向にある。就業率も上昇傾向にあり、24年の就業率は70〜74歳が35.1%、75〜79歳は20.8%に達する。

こうした現状を踏まえた論点として厚労省は、年齢にかかわらず負担能力に応じて負担する全世代型社会保障の構築の観点、世代内での公平な負担の観点等からの高齢者医療における負担のあり方、現役世代の収入や保険料負担が上昇傾向であること等を踏まえた、現役並み所得の判断基準のあり方の2項目を部会に提示した。

■高額療養費制度の見直しと併せたきめ細かな制度設計が必要との指摘も

後期高齢者の所得額、就業率とも上昇傾向にあることから、支払側の佐野雅宏委員(健康保険組合連合会会長代理)は、「高齢者の年齢区分、負担割合を含めた構造的な見直しを図る時期に来ている」との認識を表明。藤井隆太委員(日本商工会議所社会保障専門委員会委員)も、「負担割合、支援金のあり方など、従来の基準や方法に捉われることなく、全世代型社会保障の構築に向けた検討をすべきだ」と主張した。

現役世代の保険料負担軽減の観点から応能負担に一定の理解を示しつつも、慎重な議論を促す意見も目立った。診療側の城守国斗委員(日本医師会常任理事)は、「高齢になると多くの疾患を抱えがちになる身体的特性なども踏まえ、高額療養費制度の見直しと併せたきめ細かな制度設計、丁寧な議論、わかりやすい周知が必要だ」と指摘した。


1