厚生労働省は10月27日の社会保障審議会医療部会に、医療法人の2024年度決算データの分析結果(速報値)を報告した。医業収支が赤字の施設割合が病院は約6割、無床診療所は約4割、有床診療所は約5割に及ぶことが明らかになった。いずれも23年度決算時から上昇しており、経営悪化に歯止めがかからない厳しい現状がうかがえた。
本分析は「医療法人経営情報データベースシステム」(MCDB)に25年8月末までに提出があった医療法人(提出率57.8%)の24年度決算データを分析したもの。
結果をみると、医業収支が赤字だった施設の割合は病院59.7%(23年度決算比4.3ポイント増)、無床診40.8%(8.7ポイント増)、有床診50.6%(0.7ポイント増)。経常収支が赤字の施設割合は、病院49.4%(7.9ポイント増)、無床診34.4%(9.0ポイント増)、有床診40.8%(1.9ポイント増)となり、病院、診療所とも前年度から増加した。
病院の類型別でみた赤字施設の割合は、医業収支が一般病院60.6%(2.4ポイント増)、療養型病院53.7%(4.1ポイント増)、精神科病院65.9%(10.1ポイント増)。経常収支が一般病院50.8%(6.4ポイント増)、療養型病院44.3%(5.8ポイント増)、精神科病院52.7%(15.2ポイント増)となった。
■医業収益率、経常利益率とも23年度から24年度にかけて低下
二期連続でデータ提出があった医療法人を対象に23年度から24年度にかけての経営状況の変化も分析した。医業利益率の変化をみると、病院が▲0.4%から▲1.1%、無床診が7.6%から4.2%、有床診が3.3%から2.3%と、23年度時点で赤字だった病院は24年度に赤字幅がさらに拡大。経常利益率も同様に、病院が1.6%から0.1%、無床診が9.2%から5.5%、有床診が5.2%から3.8%と軒並み悪化していた。