整形外科編② 日本プライマリ・ケア連合学会監修
本連載では,日本プライマリ・ケア連合学会/全日本病院協会が実施している「総合医育成プログラム」の中から,選りすぐりのクリニカルパールを紹介します。現場のニーズを熟知しているエキスパートが,プライマリ・ケア医にとって「まさにそこが知りたかった!」というポイントをわかりやすく解説します。
椎体/非椎体/大腿骨近位部の骨折のすべてを減らすのはZARD!
◆椎体/非椎体/大腿骨近位部の骨折のすべてを減らすのはZARD!
◆ビス剤は5年使用したらdrug holidayを。alendronate, risedronateは1年休薬
◆副甲状腺ホルモンは大腿骨近位部骨折に効果なし。イベニティ®は心筋梗塞,脳卒中歴で禁忌
1 ビタミンD,カルシウム投与に骨粗鬆症予防効果はない!
従来,骨粗鬆症治療にビタミンDとカルシウムはよく処方されてきましたが,この数年でその効果はほぼ否定されました。高用量のビタミンDは効果がないばかりか骨量減少を加速させ,転倒・骨折リスクを増やします。
ビタミンDと骨粗鬆症の関係について,ハーバード大学のBrigham and Women’s Hospitalの医師たちによるランダム化比較試験(RCT)が発表されました1)。
2万5871人(女性50.6%)を2群にわけ,ビタミンD3を2000IU/日投与群とプラセボ群を比較検討した結果,中央値5.3年のフォローで骨折が1991件,1551人に発生しました。結論として,ビタミンD3投与により全骨折,非椎体骨折,大腿骨近位部骨折のいずれもが信頼区間(CI)の1をまたぎ,なんと有意差がなかったのです。