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■NEWS 日医松本会長、2026年度の次期診療報酬改定で新たな仕組みの導入を要求

登録日: 2025.10.02 最終更新日: 2025.10.02

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日本医師会の松本吉郎会長は10月1日の定例会見で、物価・賃金上昇が続く状況から「このままでは医療機関経営が成り立たず医療は崩壊する」と訴え、2026年度の次期診療報酬改定においては、改定後2年間の物価・賃金上昇を想定した新たな仕組みの導入を求めていく方針を示した。

松本会長は9月17日に公表した「診療所の緊急経営調査」の結果を改めて紹介。2024年度の医業収益は全診療科で前年に比べ悪化し、廃業を考えている診療所が約14%に上るという医療機関の窮状を改めて訴えた上で、「このような事態を招いているのは24年度改定において特に25年度分の対応が不十分だったと考えられる」と指摘。2年に一度の診療報酬改定では、「2年目は推計値で対応しなければならないため、賃金物価が急激に高騰している状況では結果としてまったくもって不十分な対応となってしまう」との考えを示し、「次期改定では改定2年目についても大胆な対応を求める」として、①次の改定までの2年間をしっかりとみた改定水準、②2年目の分を確実に2年目に上乗せする改定─という2つの新たな考え方による仕組みを提案、いずれかの対応をしっかりと明確化して導入することを求めた。

■急激なインフレ下で改定2年目に生じる大きな乖離への対応

①の案は、診療報酬改定の基礎資料となる医療経済実態調査のデータは改定年で2年、改定2年目は3年のずれが生じることから、診療報酬改定2年目の物価・賃金の推計値を含めた半分を各年に上乗せする方式。

②の案は、改定2年目に物価・賃金をそれぞれ基本診療料中心に機動的に上乗せする新たな仕組みを導入し、明確化する方式だ。2つの案について松本会長は、「②案の方がより確実に上昇分を上乗せできる方式ではあるが、2年目にも診療報酬改定を行わなければならない」との見方を示した。

■補正予算、診療報酬改定のいずれにおいても“真水”の対応を

松本会長は医療費財源についても言及。26年度補正予算と26年度診療報酬改定のいずれにおいても“真水”の対応が必要性と強調した。医療費適正化の名の下に医療費の削減が続き、「10年間の改定率は積み上げると約2%しか上昇していない」とし、「医療費のどこかを削って財源を捻出するという方法で、これ以上医療費が削減されれば医療機関経営は成り立たない。このままでは医療は崩壊する」と訴えた。消費税収が増税前の1%当たり2.66兆円から現在は3.3兆円程度と7000億円弱増加していることや、健康保険組合の保険料収入も上振れしていることなどから「経済成長の果実を活用し、財源を純粋に上乗せするいわゆる真水による思い切った緊急的な対策が必要だ」と強調した。

診療報酬改定の新たな仕組みの導入を提案した松本会長


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