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知っておくべき雇用契約書の法的ポイント[〈知っておきたい〉医療機関の法的リスクヘッジ(29)]

登録日: 2025.10.06 最終更新日: 2025.10.06

川﨑 翔 (よつば総合法律事務所東京事務所所長/弁護士)

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key word:絶対的明示事項,相対的明示事項

スタッフの採用においては「労働条件通知書」または「雇用契約書」の交付・取り交わしを行っていると思います。医療機関の顧問弁護士として最も多い相談は,実は労務問題です。スタッフとの予期せぬトラブルを避けるためには,雇用契約書を適切に作成することがきわめて重要です。今回は,医療機関の経営者が知っておくべき,雇用契約書作成時の法的ポイントを解説します。  

1.雇用契約書はなぜ作成すべきか? ―法的義務とトラブル防止

雇用契約書とは,使用者(医療機関)と労働者が労働契約の内容について合意し,それを書面化したものです。業務内容,勤務場所,労働時間,給与などの重要な労働条件を明確に定めます。

「雇用契約書を作成する法的義務はない」と耳にしたことがあるかもしれません。これは事実です。しかし,法律上は,労働者に対して労働条件を明示する義務があり,このために「労働条件通知書」を交付することが義務づけられています(労働基準法第15条第1項)。なお,労働者が希望した場合,書面ではなくメール等で労働条件を通知することも可能です(労働基準法施行規則第5条第4項)。

【労働基準法第15条第1項】
使用者は,労働契約の締結に際し,労働者に対して賃金,労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において,賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については,厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。

【労働基準法施行規則第5条第4項】
法第十五条第一項後段の厚生労働省令で定める方法は,労働者に対する前項に規定する事項が明らかとなる書面の交付とする。ただし,当該労働者が同項に規定する事項が明らかとなる次のいずれかの方法によることを希望した場合には,当該方法とすることができる。
一 ファクシミリを利用してする送信の方法
二 電子メールその他のその受信をする者を特定して情報を伝達するために用いられる電気通信(電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)第二条第一号に規定する電気通信をいう。以下この号において「電子メール等」という。)の送信の方法(当該労働者が当該電子メール等の記録を出力することにより書面を作成することができるものに限る。)

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