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本態性振戦[私の治療]

登録日: 2025.10.06 最終更新日: 2025.11.07

永井将弘 (愛媛大学医学部附属病院臨床薬理神経内科特任教授)

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姿勢時,運動時のふるえ(振戦)を特徴とし,通常,振戦以外に神経学的異常所見を認めない。振戦をきたす疾患の中で最も頻度が高く,高齢者に多くみられるが,若年者にもみられる。家族歴を認めることが多く,遺伝的素因が発症に関係していると考えられているが,孤発例もあり,原因は不明(本態性)である。

▶診断のポイント

【症状】

姿勢時,運動時に上肢や頭部などに振戦がみられ,進行は非常に緩やかである。

振戦の周波数は約4~12Hzで,一側性に発症することもあるが,経過とともに両側性になる。

【検査所見】

診断に有用な画像検査はなく,頭部MRI検査でも異常はみられない。甲状腺機能亢進症による振戦との鑑別のため,血液検査(甲状腺ホルモン値の確認)が必要である。

なお,気管支拡張薬(β刺激薬),抗精神病薬,バルプロ酸,免疫抑制薬(シクロスポリン,タクロリムス),副腎皮質ステロイドなどの副作用により,振戦がみられることがあるため,服薬歴の聴取を忘れないようにする。


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