診療報酬調査専門組織の入院・外来医療等の調査・評価分科会は9月18日、医師の診療科偏在を巡り議論した。外科領域の偏在対策では、手術の「休日・時間外・深夜加算1」における休日対応要件の取り扱いが論点の1つとなった。
医師の診療科偏在では、手術等の集約化を通じた外科系医師の労働環境の改善が課題となっている。前回の2024年度診療報酬改定では外科領域の働き方改革推進の一環として手術の「休日・時間外・深夜加算1」の施設基準が厳格化。従来は①交代勤務制、②チーム制、③手当等の支給─のいずれかを満たせばよかったが、改定後は③を必須とした上で①か②のいずれかの実施が必要になった。このうち①、②は夜勤や夜勤時間帯に呼び出し当番の翌日を休日とすることが求められる。
これら加算の届出状況に関する調査結果をみると、25年5月時点の届出数は回答1340病院中わずか192病院。さらに届出病院に施設基準見直しの経過(26年5月末まで)終了後に算定困難となる要件についての質問では、「夜勤翌日の休日対応」や「緊急呼び出し当番翌日の休日対応」などの回答が多かった。
こうした状況を踏まえ、津留英智委員(全日本病院協会常任理事)は、「オンコール対応をしたのに手当が出ないことが問題であり、加算の要件を緩和して算定しやすくした上で手当はきちんと支給させるとしたほうがよいのではないか」と提案。一方、中野惠委員(健康保険組合連合会参与)は、「この加算は働き方改革のためのものであり、要件を満たさなくてもよいとなるとその趣旨が成り立たなくなる」とし、慎重な検討を求めた。
■消化器外科領域の高度手術の実施、年50件未満の病院が大半
手術等の集約化を巡っては、連携先病院とともに消化器外科症例の集約化と均てん化を実現させた山口大学医学部附属病院の事例が紹介された。また、消化器外科領域の高度な手術の実施状況について、①全医療機関でみると多くは年間手術件数50件未満②大学病院本院の多くが年間200件以上実施している─ことなどがデータから明らかになった。
このため委員からは「山口大学の例も参考にしつつ、高度な手術については集中・集約化を考えるべきではないか」(中野委員)。「高度な手術の集約化は今後、絶対に避けられない」(旭川赤十字病院・特別顧問・名誉院長)といった意見が示された。