診療報酬調査専門組織の入院・外来医療等の調査・評価分科会は9月18日、急性期入院医療の評価指標を巡り議論した。拠点的な急性期機能を担う病院の評価指標では、幅広い診療科をカバーする総合性や専門性などの指標となり得る「総合入院体制加算」と「急性期充実体制加算」について、複数の委員が統合・一本化を提案した。
分科会の中間とりまとめは、医療機関機能報告の創設を念頭に入院急性期の機能を拠点的な急性期機能と一般的な急性期機能に分ける方向で評価指標を検討することを提言。評価指標には救急搬送件数や手術件数、地域シェア率などのほか、拠点的な急性期機能に関しては「総合入院体制加算」や「急性期充実体制加算」の施設基準・実績要件も候補に挙がっている。
このうち「総合入院体制加算」と「急性期充実体制加算」における現行の実績要件の比較では、共通部分はある一方、心臓血管外科手術や正常分娩・異常分娩などについては要件が異なる。厚生労働省の分析では、「総合入院体制加算」や「急性期充実体制加算」の届出病院は、両加算の実績要件を満たす数が少ない場合であっても、実績要件を満たす数が多い場合と標榜診療科数に大きな違いはなく、総合的な診療体制を備えていることが明らかになった。
このため複数の委員が「総合入院体制加算」と「急性期充実体制加算」の統合・一本化を提案。人口の少ない地域については実績要件の緩和など一定の配慮が必要との点でも概ね意見が一致した。
■救急搬送件数が多いほど医業利益率は低下、期中改定の実施求める意見も
同日の分科会には救急搬送受入件数に関する分析データも示された。それによると、「急性期一般入院料1」算定病院では、救急搬送受入件数が多くなるにつれ、許可病床数、病床当たり医師数、全身麻酔件数などが増加。一方、救急搬送受入件数が多い病院は、受入件数に比例して医業費用が増大するため、医業利益率は低い傾向にあることが分かった。
こうした現状について津留英智委員(全日本病院協会常任理事)は、「もはや尋常ではないと認識すべき内容。制度として矛盾しているし、破綻している」と強い問題意識を表明。「次期改定を待たずして期中改定なり、25年度補正予算による緊急的な補助などで早急に解決すべき内容だ」と述べた。