中医協は7月9日の総会で、専門組織から報告されたアルツハイマー病(AD)治療薬「レケンビ」(一般名:レカネマブ)の費用対効果評価案を了承した。これによりレケンビの薬価は15%引下げとなることが確実となった。
レケンビは、脳内に蓄積した凝集アミロイドβプラークの前駆物質である可溶性アミロイドβ凝集体を標的としたAD疾患修飾薬。「ADによる軽度認知障害および軽度の認知症の進行抑制」を効能・効果として2023年9月に国内で承認され、同年12月に薬価収載された。
新規認知症薬であり市場規模が大きくなる可能性があることなどを踏まえ、中医協はレケンビの薬価収載にあたり特例的なルールで費用対効果評価を行うことも決定。今回の費用対効果評価はこのルールに沿って行われ、介護費用を含めた分析でも含めない分析でも「ICER(増分費用効果比)が500万円/QALYとなる価格」が現行薬価を大きく下回るという結果が出たことから、引下げの場合の下限である85%にする評価案がまとめられた。
15%引下げとなった場合、レケンビの薬価は現行の「4万5777円(200mg)、11万4443円(500mg)」から「3万8910円(200mg)、9万7277円(500mg)」に変更されることになる。
■エーザイ「長期有効性や介護者QOLが過小評価されている」
製造販売元のエーザイは9日、レケンビの費用対効果評価について、「長期有効性」や「介護者QOL」が過小評価されていることなどを指摘した上で、「今回の費用対効果評価はレケンビの有効性、効能効果に影響を与えるものではない。レケンビがもたらす価値に対する適正な評価を引き続き求めていく」とするコメントを発表した。
エーザイのアルツハイマー病治療薬「レケンビ」