
2013年秋田大医学部卒業。健生病院臨床研修医,福井大病院救急部・総合診療部,聖隷浜松病院救急科・救急救命センターなどを経て,2023年より現職。日本救急医学会救急科専門医。ブログ「りんごの街の救急医」やSNSでの情報発信も行っている。
1 「質の高い胸骨圧迫」を追求しよう
- 胸骨中央~下半分を,5~6cmの深さで,100~120回/分を目標にする。
- 圧迫と圧迫の間には胸部を完全に元の位置に戻す。
- 胸骨圧迫の中断時間を短くする。
- 患者の下に硬い板を置く。
2 機械的胸骨圧迫装置の活用
- 環境に応じて機械的胸骨圧迫装置の使用を検討してよい。
3 CPR中の気道確保は胸骨圧迫や除細動に比較して優先順位が下がる
- 医療従事者の経験値と現場の状況に応じて,利用可能な資源に基づいた対応をしてよい。
- 高度な気道確保を行うことには,バッグバルブマスク換気を上回る利点はない。
4 ルーチンのパルスチェックは不要
- 触診でのパルスチェックは正確性が低く,胸骨圧迫の中断時間を延長させる可能性がある。
5 超音波検査の活用
- 原因検索や蘇生可能性などの評価のために,積極的に超音波検査を行う。
6 蘇生効果を最大限に高める除細動を行う
- 発生から早いほど成功率が高まる。
- 除細動前後の胸骨圧迫中断時間を最小限にする。
- パッドを胸部前-側面から胸部前後に貼り替えることも効果的である。
- 除細動器が2台あれば,DSEDを試す。
7 薬剤投与の工夫
- 末梢静脈路確保が困難な場合には骨髄路を選択する。
- アドレナリンは初期波形にかかわらず有効な薬剤である。
- shockable rhythmに対するアドレナリン投与のタイミングには注意が必要である。
- 難治性心室細動/無脈性心室頻拍に対してはアミオダロンやリドカイン投与を行う。状況に合わせて使いわけをしてよい。
- 院内心停止に対してVSE療法を使用してもよい。
1 はじめに
「これから心停止患者が搬送されます!」
心停止は,当直中に遭遇したくない主訴Top 3に入るのではないでしょうか。人手が取られて労力がかかる,その割に蘇生できないことも多く,心身ともに疲れてしまう,やりがいがない,などと感じてしまっているかもしれません。ガイドラインで推奨されていることは知っているけれど,それが臨床的にどう生かされているのかわからない,だから興味がわかないし,つまらないと感じる─そんな読者に本稿を捧げます。
ガイドラインの推奨事項を確認し,ちょっと新しい知識も取り入れながら,各施設に合わせた実践的な方法を一緒に探しましょう。まさに「守破離」ですね! 目の前にいる1人の心停止患者に対して,当直帯の限られた環境(少ない人員,他の待ち患者,検査の制限,疲労困憊など)でも,最大限の効果を発揮できるようになるはずです。