
2013年福岡大学医学部卒業。その後,北海道家庭医療学センター,福岡大学筑紫病院小児科,福岡大学病院総合周産期母子医療センターで勤務し,Harvard Medical School Foundations of Clinical Research卒業。家庭医療専門医・指導医。現在,Johns Hopkins University School of Public Health MPH在学。専門は小児プライマリ・ケア。
1 子ども虐待の定義
- 子ども虐待は「身体的虐待」「性的虐待」「精神的虐待」「ネグレクト」の4つに分類されているが,分類することが目的ではない。
2 日本の子ども虐待の現状
- 年間約30万件以上も虐待で苦しむ子どもたちが報告されている。
- 虐待死事例においては,半数以上で関係機関(児童相談所,市町村)が虐待と把握できないまま死に至っている。
3 虐待がもたらす影響と背景
- 虐待には長期にわたり,身体的・心理的に重篤な影響がある。
- 虐待の背景は本人,保護者,周囲の環境の3つにわけてとらえる。
4 子ども虐待を疑う
- 子ども虐待の受傷部位は,顔,首,耳,頭,体幹,臀部,腕に多く,特に被覆部位に注意が必要である。
5 子ども虐待の重症度評価
- 重症度指標を用いる。
- 重症度指標は,医療従事者と行政機関が介入の緊急性に関して共通の認識をもつために重要である。
6 関係機関につなぐ
- 重症度評価,子どもの安全確保の有無,医学的適応,保護者の同意などを参考に,適切な関係機関へつなぐ。
- 医学的適応については,各地域の虐待対応拠点病院に設置されたchild protection team(CPT)に相談するとよい。
7 事例検討
- いくつかの具体例(架空の症例)を提示する。
8 さいごに
- 診療所,病院,医師,看護師といった多角的な視点で子ども虐待をみることで,見落とし(死角)が少なくなり,効果的な支援につながる。
1 子ども虐待の定義
2000年に制定された「児童虐待の防止等に関する法律」(児童虐待防止法)により,子ども虐待は「保護者(同居人を含む)」がその「監護する児童」に対して行うものと定義され,「身体的虐待」「性的虐待」「精神的虐待」「ネグレクト」の4つに分類された(表1)1)2)。また,2004年には,保護者以外の同居人による児童虐待と同様の行為の放置,児童の目の前でのドメスティック・バイオレンス(DV)など,児童への被害が間接的なものについても児童虐待に含まれることになった。

ここで強調されるべき点は,分類化が「目的」ではないということである。事実として,子ども虐待の背景は非常に複雑であり,すべてのケースで明確に分類できるわけではない。