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【一週一話】希少糖の機能性食品・医薬品としての可能性

登録日: 2016.09.08 最終更新日: 2025.09.20

徳田雅明 (香川大学希少糖研究センター長)

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希少糖(rare sugars)とは,自然界における存在量が少ない単糖とその誘導体であり,その種類は50以上と多いが,入手が困難であることから研究が進んでいなかった。今から15年ほど前に希少糖の安定的な生産技術が香川大学で確立され,希少糖研究が大きく進んだ。

現在,最も研究が進んだD-プシコースは,D-フルクトースの3位の炭素のHとOHの位置が入れ替わった(エピ異性体)ケトースであり,カロリーゼロで甘味度は砂糖の7割程度である。α-グルコシダーゼ,スクラーゼなどの阻害作用を持つため,炭水化物や砂糖の消化・分解を抑える。また,SGLUTなどのトランスポーターからの糖吸収を抑制する作用を持つ。さらに,D-プシコースが血液中に入ると肝臓においてグルコキナーゼを活性化し,グルコース-6リン酸増加→グリコーゲン合成促進が起こる。以上により,食後血糖値の上昇抑制が起こる。ヒトでの75gブドウ糖負荷試験では,D-プシコース5gで血糖曲線下面積(area under the blood concentration-time curve:AUC)の20%程度の減少効果を示し,血中インスリン濃度も減少した。境界型糖尿病への効果も得られており1),現在,糖尿病患者に対しての臨床試験を実施している。


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