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12誘導心電図をきちんととることで診断につながった一例[プラタナス]

登録日: 2020.03.14 最終更新日: 2025.09.22

田中耕史 (桜橋渡辺病院 心臓・血管センター不整脈科医長)

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私の心に残る心電図をご紹介します。患者は60歳代の女性で、1カ月前からの息切れ、動悸を主訴に救急外来を受診しました。これまで心疾患を指摘されたことはありませんでした。救急外来でモニター心電図を装着したところ、P波は明瞭に確認することができ、RR間隔が等しく、心拍数は120/分と頻脈でしたので洞性頻脈と思いました。胸部X線では心拡大と肺うっ血を認め、心エコー検査では左室壁運動はびまん性に低下し、左室駆出率は30%台と著明に低下していました。心不全と診断し、入院加療を行いました。先輩医師に報告すると、直ちに12誘導心電図をとるよう指示され、記録したのが提示した心電図です。先輩医師はこの心電図をみて、直ちに心房頻拍と診断しました。QRS波に小さな波が連続していますがこれはP波であり、心房の興奮が2回に1回間引かれて心室に伝導している心房頻拍の所見です。


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