検索

×
絞り込み:
124
カテゴリー
診療科
コーナー
解説文、目次
著者名
シリーズ

赤痢アメーバ症

登録日: 2019.04.04 最終更新日: 2025.09.22

今井一男 (埼玉医科大学感染症科・感染制御科非常勤講師) 前﨑繁文 (埼玉医科大学感染症科・感染制御科教授)

お気に入りに登録する

【確定診断は原虫の直接的検出によること】

赤痢アメーバ症は原虫であるEntamoeba histolyticaのシストを経口的に摂取することで感染する。輸入感染症としても重要だが,糞口的に感染することもあり,性感染症としても経験される。男性同性愛者,HIV患者において有病率が高く,赤痢アメーバ症を診断した際には,HIV感染症の検査も行う。

しかし,現在国内では異性間性交愛者における患者も急増傾向にあり,注意が必要である。病型は腸管型(アメーバ性腸炎)と腸管外型(アメーバ性肝膿瘍等)の2種に大別される。診断は糞便・腸管組織・膿瘍穿刺物から顕微鏡検査や遺伝子検査で原虫を検出するか,血清学的検査が用いられる。しかし,2018年より外注可能な抗体検査法がなくなり,確定診断は原虫の直接的検出によることになった。

治療はメトロニダゾールを投与する。膿瘍穿刺物からの原虫検出率は低いため,肝膿瘍の治療には経験的にメトロニダゾールを含めた抗菌薬を選択する。メトロニダゾールにアレルギーのある患者には,チニダゾールの使用を考慮する。上記薬剤は栄養体にのみ効果的であり,シスト保有者に対してはパロモマイシンによるシスト駆除が望まれる。治療後に糞便からシストの消失を確認する。シスト保有者を減らすことが,国内での感染拡大防止につながる。

【参考】

▶ 国立感染症研究所:病原微生物検出情報(IASR). 2016; 37(12):239-40.

【解説】

今井一男*1,前﨑繁文*2  埼玉医科大学感染症科・感染制御科 *1非常勤講師  *2教授


1