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最新 MINOCA/INOCAの診断と治療

最新 MINOCA/INOCAの診断と治療

冠攣縮に関する新たな疾患概念である「冠動脈閉塞を伴わない心筋梗塞(MINOCA)」「冠動脈閉塞を伴わない心筋虚血(INOCA)」。日本循環器学会ガイドラインに追加されたほか,欧州心臓病学会や米国心臓協会のガイドライン・ステートメントが発表されるなど,国内外で関心が高まっている。
本書はMINOCA/INOCAを体系的に解説した本邦初の書籍。第一線で臨床・研究・教育に携わる循環器内科医が結集し,概念だけでなく,個別症例も紹介しつつわかりやすく解説している。

冠攣縮に関する新たな疾患概念である「冠動脈閉塞を伴わない心筋梗塞(MINOCA)」「冠動脈閉塞を伴わない心筋虚血(INOCA)」。日本循環器学会ガイドラインに追加されたほか,欧州心臓病学会や米国心臓協会のガイドライン・ステートメントが発表されるなど,国内外で関心が高まっている。
本書はMINOCA/INOCAを体系的に解説した本邦初の書籍。第一線で臨床・研究・教育に携わる循環器内科医が結集し,概念だけでなく,個別症例も紹介しつつわかりやすく解説している。

掃本誠治 (社会保険大牟田天領病院 副院長)
海北幸一 (宮崎大学医学部 内科学講座 循環器・腎臓内科学分野 教授)
辻田賢一 (熊本大学大学院 生命科学研究部 循環器内科学 教授)
判型B5判 ページ数232 刷色2色部分カラー 版数第1版 発行日2025年11月14日 ISBN978-4-7849-1400-5 付録無料の電子版が付属(巻末のシリアルコードを登録すると、本書の全ページを閲覧できます) 診療科
紙の書籍
税込6,930

この商品は予約商品となりますので、ご発送は発売後となります。

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目次

導入編
1章 MINOCA,INOCAの病態・疫学
1. MINOCAの病態・疫学
 1. MINOCAの定義と病態"(石井正将,辻田賢一)
 2. MINOCAの疫学(石井正将,辻田賢一)
2. INOCAの病態・疫学
 1. INOCAの定義と病態(神戸茂雄,安田 聡)
 2. INOCAの疫学(横井研介,野出孝一)
 3. 冠攣縮と遺伝的要因(田中哲人,室原豊明)
 4. INOCAにおける性差(河野宏明)
2章 MINOCA,INOCAの診断
1. MINOCAの診断
 1. MINOCAの診断概説(今仲崇裕,石原正治)
 2. working diagnosisとしての診断(今仲崇裕,石原正治)
 3. 確定診断
  1. 心筋梗塞の診断(今仲崇裕,石原正治)
  2. 非閉塞性冠動脈の証明(今仲崇裕,石原正治)
 4. 冠攣縮の診断
  1.冠攣縮の診断概説(松浦祐之介,海北幸一)
  2. 動脈硬化性・非動脈硬化性冠動脈疾患,非冠動脈疾患の除外(松澤泰志)
  3. 冠攣縮の証明
2. INOCAの診断
 1. INOCAの診断概説(高橋 潤)
 2. 心外膜冠動脈における有意狭窄の確認(野口輝夫)
 3. 冠攣縮性狭心症の診断
  1. 概説(末田章三)
  2. 診断アルゴリズム,冠攣縮薬物誘発試験(松浦祐之介,海北幸一)
  3. 画像診断①:IVUS(樽谷 玲,田中 篤)
  4. 画像診断②:OCT(樽谷 玲,田中 篤)
  5. 画像診断③:CT(浅海泰栄,三浦弘之,野口輝夫)
  6. 画像診断④:MRI(三浦弘之,浅海泰栄,野口輝夫)
  7. 画像診断⑤:血管内視鏡(光武良亮)
  8. 冠微小血管攣縮(仲野泰啓,的場哲哉)
3章 冠攣縮性狭心症患者,INOCA患者に対する治療
 1. 治療概要(高橋 潤)
 2. 日常生活管理(杉山拓史,巴 崇,安 隆則)
 3. 薬物治療
  1. ファスジル(神戸茂雄,安田 聡)
  2. デノパミン(β1作動薬)(若林公平)
  3. 漢方薬(若林公平)
 4. 非薬物治療
  1. ICD植込み(野田 崇)
  2. 星状神経節ブロック(寺川宏樹,池永寛樹,辻田賢一)
  3. 胸部交感神経節切除術(寺川宏樹,池永寛樹,辻田賢一)

発展編
CASE1:冠攣縮性狭心症と診断したMINOCAの1例(小澤愛美)
CASE2:冠攣縮性狭心症により心筋梗塞を発症した1例(宮本翔伍)
CASE3:MINOCA症例におけるOCT所見(樽谷 玲,田中 篤)
CASE4:MINOCAにおいて冠攣縮が自然発作にて繰り返し証明された症例(阿部浩二,松村敏幸)
CASE5:MINOCAにおいて冠攣縮が薬物誘発試験にて証明された症例(今仲崇裕,石原正治)
CASE6:INOCAにおいて冠攣縮薬物誘発試験,生理学的検査を施行し,確定診断が得られた症例(神戸茂雄,安田 聡)
CASE7:冠静脈洞血での乳酸測定が冠微小血管攣縮の診断に有用であった症例(仲野泰啓,的場哲哉)
CASE8:INOCAにおいて冠微小循環障害が証明された症例(羽田昌浩,角田恒和)
CASE9:INOCAに対する侵襲的・包括的精査の1例(西宮健介)
CASE10:一酸化炭素中毒後に冠微小血管攣縮による急性心筋梗塞を発症した症例(渡邊圭祐)
CASE11:アルギニノコハク酸尿症に合併した冠攣縮性狭心症の1例(永吉靖央,中山雅文)

序文

2023年3月,日本循環器学会より「2023年 JCS/CVIT/JCCガイドライン フォーカスアップデート版 冠攣縮性狭心症と冠微小循環障害の診断と治療」が発表された。2013年改訂版から10年後のアップデートであり,冠攣縮に関連する新たな疾患概念として,冠動脈閉塞を伴わない心筋梗塞(myocardial infarction with non-obstructive coronary arteries;MINOCA)や冠動脈閉塞を伴わない心筋虚血(ischemia with non-obstructive coronary artery disease;INOCA)が追加されている。
従前から急性・慢性に限らず,非閉塞性冠動脈疾患に関する報告はなされていたが,2010年代にMINOCA,INOCAの用語が提唱され,検査モダリティの進歩や疾患に関する啓発と相まって器質的狭窄に対する形態学的評価のみならず,冠攣縮,冠微小循環障害などの機能的評価の重要性が高まっている。2010年代後半から2020年代前半にかけて,欧州心臓病学会(European Society of Cardiology;ESC),米国心臓協会(American Heart Association;AHA),欧州経皮的心血管インターベンション協会(European Association of Percutaneous Cardiovascular Interventions;EAPCI)などの主要学会や冠動脈機能異常に関する国際共同研究組織(Coronary Vasomotion Disorders International Study;COVADIS)から,非閉塞性冠動脈疾患に関するガイドラインやステートメントが発表されていることからも関心の高さがうかがえる。
心臓カテーテル検査において,冠攣縮薬物誘発試験やガイドワイヤーによる侵襲的・包括的精査の重要性を理解していても,施行にハードルを感じる医師や施設があるかもしれない。しかし,心外膜冠動脈に狭窄を認めないことをもって狭心症ではないとされ,胸部症状が改善しない患者は少なからず存在し,また,緊急冠動脈造影で閉塞病変がないことで関心が薄れることなく,冠動脈機能異常(冠攣縮・冠微小循環障害)に対し,さらなる考察をすることは重要である。
本書では,①これまで体系的なMINOCA/INOCAに関する書籍がないこと,②総論的な説明では関心がわきにくく理解が難しい点などを考慮し,導入編・発展編の構成として,具体的に疾患のイメージをわきやすくすべく,症例から学べるよう工夫されている。
日頃の診療,研究,教育の多忙の中でご執筆頂きました先生方,ならびに本書の出版にあたりご尽力下さった日本医事新報社の皆様方に心より感謝申し上げます。
本書が日常臨床において,大いに役立てることを願っております。

2025年10月
掃本誠治/海北幸一/辻田賢一