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ハンドスプリントの実際~早く・正しく・美しく~

ハンドスプリントの実際~早く・正しく・美しく~
手指の疾患や障害は、直接的にその対象者の生活に大きな影響を及ぼします。そのため、治療を専門的に進めていく必要性があり、ハンドスプリントはひとつの大きなストラテジーになりうるものです。ハンドスプリントは、治癒の促進だけでなく、炎症の鎮静化、痛みの軽減に貢献することができます。また、障害された手の機能の補完や代償することによって、対象者の生活に寄り添うことも可能となります。
本書は、疾患解説をコンパクトにまとめ、それを受けて、必要なスプリントはなにか、作製のコツ、スプリンティングプログラム、フィッティングチェックのポイントについてわかりやすく解説してあります。手外科臨床33年の田中利和医師と、この道40年の匠の技をもつ仲木右京作業療法士だからこそ生み出すことができた、臨床現場でいま、すぐ活用できるノウハウが詰まった一冊です。

こんな作業療法士におすすめ
▷ハンドスプリント選択のヒントを得たい
▷限られた時間内で効率よく作製できるコツをつかみたい
▷目的に対して正しく、対象者から受け入れられる美しいスプリントが作製したい
▷後進育成でスプリントの教え方に困っている

こんな医師、理学療法士にもおすすめ
▷ハンドセラピィに興味があり、自分で納得のいくスプリントを作成したい
▷スタッフの作業療法士のスプリントに満足できない
手指の疾患や障害は、直接的にその対象者の生活に大きな影響を及ぼします。そのため、治療を専門的に進めていく必要性があり、ハンドスプリントはひとつの大きなストラテジーになりうるものです。ハンドスプリントは、治癒の促進だけでなく、炎症の鎮静化、痛みの軽減に貢献することができます。また、障害された手の機能の補完や代償することによって、対象者の生活に寄り添うことも可能となります。
本書は、疾患解説をコンパクトにまとめ、それを受けて、必要なスプリントはなにか、作製のコツ、スプリンティングプログラム、フィッティングチェックのポイントについてわかりやすく解説してあります。手外科臨床33年の田中利和医師と、この道40年の匠の技をもつ仲木右京作業療法士だからこそ生み出すことができた、臨床現場でいま、すぐ活用できるノウハウが詰まった一冊です。

こんな作業療法士におすすめ
▷ハンドスプリント選択のヒントを得たい
▷限られた時間内で効率よく作製できるコツをつかみたい
▷目的に対して正しく、対象者から受け入れられる美しいスプリントが作製したい
▷後進育成でスプリントの教え方に困っている

こんな医師、理学療法士にもおすすめ
▷ハンドセラピィに興味があり、自分で納得のいくスプリントを作成したい
▷スタッフの作業療法士のスプリントに満足できない
田中利和 (柏Handクリニック院長)
仲木右京 (柏Handクリニック 作業療法士)
判型B5判 ページ数168 刷色カラー 版数初版 発行日2025年11月16日 ISBN978-4-7849-0218-7 付録無料の電子版が付属(巻末のシリアルコードを登録すると、本書の全ページを閲覧できます) 診療科
紙の書籍
税込4,950

この商品は予約商品となりますので、ご発送は発売後となります。

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目次

1章 ハンドスプリントとは
2章 疾患別(症状別)スプリントの実際
1 骨折
1 橈骨遠位端骨折
2 中手骨,基節骨骨折
2 末梢神経損傷
1 手根管症候群
2 尺骨神経麻痺
3 橈骨神経麻痺
3 関節疾患/関節損傷
1 母趾CM関節症
2 変形性関節症
4 腱
1 屈筋腱損傷
2 伸筋腱損傷
3 狭窄性腱鞘炎
5 拘縮
1 Dupuytren拘縮術後
2 軟部組織性拘縮
索 引

序文

手指の障害は,思った以上に頻発する疾患であり,日常生活に支障をきたすことが多くあります。その障害の中身は疼痛であったり,可動域の低下であったり,局所の腫れであったりします。外来受診の多い疾患は,手指にしびれをきたす手根管症候群,肘部管症候群,変形と疼痛に悩まされる変形性関節症〔へバーデン結節,ブシャール結節,母指手根中手関節(carpometacarpal joint;CM関節)症など〕,そして外傷(骨折,靱帯損傷など)があります。人間の身体は,障害(腫れや疼痛)が生じると可動域が低下し,自己防御を働かせ,同時に,損傷された組織の修復を開始します。どうしても使いたい人間の意思に反して,身体は自分を防衛するかのように,疼痛,腫れ,発赤を生じて人間に警告を発します。それでも使い続けると変形は進み,疼痛が長引くことになるのです。けがをしても必ず治るように, 人間の身体には自然治癒力があります。不便さもありますが,障害部位に必要な環境を整えれば,勝手に治ってくれるのです。その環境を整えてくれる方法のひとつがスプリントです。
本書の構成は,まずハンドスプリントの目的や進め方,プログラムなどを紹介しています。続いて,日常で出会うことの多い疾患(骨折,末梢神経疾患,関節疾患,腱損傷,拘縮)順に,疾患の概要,病期における治療上の目標,スプリントの目的,適応となるスプリント,スプリントプログラム,スプリント作製方法を解説しています。手に関わる医師,作業療法士の先生方に,スプリント作製のノウハウやコツを凝縮したものとなっています。
スプリントの必要条件のひとつに,装着時の快適さがあります。数日~数週間の装着が必要となるため,どうしても細部にこだわる必要があるのです。また,一度作ればそれで終わりではないのもスプリントの特徴です。環境が整い障害が改善してくると,身体は局所の腫れを軽減させ,発赤をなくし,周径が細くなってきます。必然的に,当初合っていたスプリントが合わなくなり(当たる,緩む),修正,再作製が必要となります。フィッティングの良いスプリントを装着していると長期間にわたる着用が可能となり,必ず症状は改善します。
本書を手にしたその日から,ぜひスプリント作製を始めてみてください。繰り返し作製していくと必ずうまくいくものです。そして,1人でも多くの患者さんの笑顔が取り戻せるように,頑張ってほしいと思っています。

2025年10月
田中利和


おわりに

OTになってから約40数年間,ハンドスプリントとともに歩んできました。私の臨床では常にハンドスプリントがストラテジーの中心にあり,いかに「早く・正しく・美しく」作製するかにこだわり続けてきました。そのような意識のもと作製されたスプリントは,対象者の生活に寄り添う形で機能してきたと自負しています。
私がまだ新人の頃,勤めていた病院でリウマチの高齢者の女性を担当したことがありました。彼女の両手は重度のムティランス変形を呈しており,物の把持などに困難を生じていました。そこで母指を他の指と対立位に固定するスプリントを作製して対象者に渡したのですが,その女性から「こんなものをつけていたら余計に手が使えない」と言われ,非常にショックを受けました。そのときは,「つけられるときにつけて下さい」と言うのが精一杯でした。しかしそれから数カ月後にその方から連絡を頂きました。
「あのスプリントが壊れてしまった。あれがないと手が使えない」と。
どうやら,受け入れは悪かったのですが,使い続けてくれていたようで,生活に役立っていたことに感動を覚えました。また,20年前に担当した別の対象者から「同じものを再度作製してほしい」とスプリントの作り直しの依頼を受けることもあります。その対象者の持ってきた手関節スプリントは,長年使い続けていたようでガムテープで修正されていました。ほんの一部かもしれませんが,スプリントがそれぞれの対象者の生活に寄り添い続けていたのかもしれない,と思うとスプリントの持つ力を再確認できます。そしてこのことが自分にとってスプリントを作り続ける原動力となっています。
現在, 保険診療の体制も大きく変化し,OTの臨床では限られた時間内に評価や治療,訓練を行わなければいけません。それゆえに,臨床現場では慣れていないと時間がかかるハンドスプリントの作製が敬遠されがちな現状も垣間見えます。しかしハンドスプリントのノウハウがあれば,治療訓練のストラテジーは大きく変わり,より効果的になるのです。
最後に本書を執筆する機会を与えてくださった田中利和先生,なかなか原稿が進まず,多くの時間を辛抱強くお待ちいただいた日本医事新報社の横尾直享氏には深く感謝いたします。
私をこの道に導き,成長を見守っていただいた故椎名喜美子先生に本書をお見せできなかったのがとても悔やまれますが,いまを生きる現役のOTに,本書を通じて椎名先生の匠の技を受け継いでいただき,多くの対象者に寄り添うハンドスプリントを作製していただければ望外の喜びです。

2025年10月
仲木右京