静がんメソッド 血液腫瘍編
静岡がんセンターから学ぶ最新化学療法&有害事象マネジメント
静がんならではの経験的ポイントを公開
目次
1.SCC院内ガイドライン
2.レジメン・有害事象マネジメント
DNR + Ara-C
JALSG-AML201-C群(HiDAC)
JALSG-AML201-D群(standard dose)
CAG
5-AZA
MEC変法(AEM)
JALSG-ALL202-U
Hyper CVAD/MA
CHOP
ABVD
GDP
CHASE
GCD
Anti-CD30
R-EPOCH
DA-EPOCH-R
R-CHOP
R-GDP
CHASER
R-GCD
R-MPV
R-Hyper CVAD/MA
R-Bendamustine
Rituximab
mLSG15(VCAP-AMP-VECP)
Anti-CCR4
SMILE
DeVIC
R-CVP
R-Fludarabine
CyBD
Rd
PomD
序文
静がんメソッドシリーズの監修にあたって_x0080_
_x0080_ 現在の化学療法の多くは,EBMに基づき,各癌腫ごとにガイドラインが整備されてきました。しかし,実臨床においてはいわゆる「標準治療」が適応され,何も悩まずに治療できる患者さんの割合は決して多くないのが現状です。患者さんの病態,全身状態ならびに治療目的,仕事環境,家庭環境など様々な情報に,医師の経験を加味して治療法を選択するわけですが,「この治療法」という正解があることは少なく,患者さんの状態も臨床試験のように一定というわけにはいかないため,多かれ少なかれ迷いながら治療をされているのが実情だと思います。当院へのセカンドオピニオンにおいても,高齢や腎機能低下,心機能低下といった合併症を持つ患者さんへの治療といった様々なパターンの治療選択の悩みが多く見受けられます。また,他院の先生からは「セカンドオピニオンという堅苦しい形ではなくてもいいので,治療のポイントやアドバイスがもらえれば助かる」との意見もたびたび聞かれます。我々のようながん専門病院は必然的に多くの患者さんを治療するわけですが,標準治療外の患者さんの治療において悩む点は同じです。ただ,我々は様々な患者さんの治療経験の積み重ねにより,治療選択における注意点や有害事象対策におけるポイントをいくつか持っています。当然,EBMが医療の根幹であり,まずはEBMをしっかり理解し治療することが必要ですが,EBMにはない,経験から得られるポイントが実臨床で悩んだときの大きな支えになります。この本は一般的なガイドラインとは違い,当院が実臨床として培ってきた経験的ポイントを公開することを目的として作成しています。そのため,EBMのあるもの,ないものすべてが記載されていることを十分認識した上でご活用頂ければ幸いです。患者さんの視点に立ち,すべての患者さんの希望に添った最善の治療(必ずしも化学療法のみではなく,緩和治療も含めた治療)を行うための参考になれば幸いです。_x0080_
最後に,多忙な中,この本を出版するにあたり御執筆頂いた静岡県立静岡がんセンターの各科の先生方に深謝申し上げます。
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静岡県立静岡がんセンター 副院長兼消化器内科部長_x0080_
安井博史
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序 文_x0080_
_x0080_ このたび当センター各診療科から,各々の治療方針およびプロトコールを発刊させて頂くこととなった。その一環として当科でも,主な造血器腫瘍の治療ストラテジーと,使用しているプロトコールをまとめさせて頂いた。世には既に同様のプロトコール集や治療マニュアルが複数出版されており,先輩諸兄による質の高い成書と比較すると,肩身が狭い思いである。しかしあえて本書の長所をあげるとすれば,できるだけ当科の実臨床に即した内容となっており,実際の投与法や,我々なりの工夫を加えるようにしたことであろう。_x0080_
恥ずかしながら当科においては,日常診療に追われる中で,最新の知見に合わせて治療を見直すこともできていなかったというのが偽らざるところであった。幸いなことに本書の作成が始まったタイミングで,ちょうどスタッフを増やすことができ,他施設から異動してきてくれたスタッフらとともに治療方針を見直す良い機会となった。また,施設ごとに治療方針や選択にカラーがあることも改めて実感することになった。決してすべてに渡って納得がいく内容ではないものの,科内での議論を活かして,現時点での当科の考え方をまとめることができたのではないかと思っている。すなわち,本書は文献や知識を網羅するような学術的な書ではないが,当科なりの考え方と実診療が記された「ノート」のようなものとご理解頂きたい。_x0080_
他の悪性腫瘍と同様に,造血器腫瘍領域でも新しい薬剤やレジメンが次々に世に出てきており,まさに日進月歩の様相を呈している。幾つかの分野では,すぐに推奨される治療法も変わっていくであろう。そのような環境において,新たな治療法を検討する際のベースのひとつとして,あるいは前出の通り書き込みや修正を加えて完成させていく「ノート」として,本書がお役に立てれば望外の喜びである。_x0080_
できるだけ多くの方の手にとって頂き,忌憚のないご意見をお寄せくださることをお願いして,ご挨拶に代えさせて頂きたい。
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静岡県立静岡がんセンター 血液・幹細胞移植科部長_x0080_
池田宇次
正誤表
下記の箇所に誤りがございました。謹んでお詫びし訂正いたします。
表「投与例」の16,17日目
〈誤〉【投与量】ビンデシン硫酸塩[VDS](フィルデシン®) 2.4mg/m2 + 生食 50mL,【投与方法】点滴末梢本管 (15分)→〈正〉【投与量】エトポシド[ETP](エトポシド) 100mg/m2 + 5%ブドウ糖液 250mL,【投与方法】点滴末梢側管(2時間)