jmedmook37
あなたも名医!不明熱、攻略
“不明熱”を減らすための考え方をマスターしよう
「不明熱」とはもう呼ばない!だって「不明」じゃないですから!
目次
第1章 総論─不明熱を攻略するために押さえておきたいこと
1 不明熱の攻略のしかた
2 不明熱攻略のためのツールとなる考え方
第2章 +αの情報に着目する!
A リスクファクターの+α
1 海外渡航歴→マラリア
2 腹水→特発性細菌性腹膜炎
3 抗悪性腫瘍薬使用歴→発熱性好中球減少症
4 入院→カテーテル関連感染症
5 性感染症既往→HIV感染
6 透析→黄色ブドウ球菌菌血症
7 インフルエンザ罹患後→黄色ブドウ球菌性肺炎
B 症状の+α
1 悪寒戦慄→菌血症
2 関節痛→化膿性関節炎
C 身体所見の+α
1 皮疹→感染性心内膜炎
2 前立腺圧痛→急性細菌性前立腺炎
D 検査の+α
1 異型リンパ球→CMV感染症
2 ALP/γ-GTP上昇→急性胆管炎
E 手がかりに乏しいのも+α
1 薬剤熱
2 悪性リンパ腫
3 成人Still病
4 血管炎症候群
5 結核性腹膜炎
第3章 疾患の全体像に着目する!
A 超緊急疾患のゲシュタルト
1 急性喉頭蓋炎
2 脾臓摘出後重症感染症
3 壊死性筋膜炎
4 フルニエ壊疽
5 細菌性髄膜炎
6 急性副腎不全
B バイタルから緊急性をとらえる
1 頻呼吸→肝膿瘍による重症敗血症
C 知っておきたい全体像
1 クロストリジウム・ディフィシル感染症
2 偽痛風
3 誤嚥性肺炎+尿路感染症
4 CRP低値でも重症
5 全体像を押さえれば意外と難しくないSLEの診断
序文
巻頭言
古典的不明熱の定義を提唱したPetersdorfは,「多くの病気が不明熱と診断されているが,その理由は医師が重要な所見を見逃し,無視するためである」と述べています。
「不明熱」とは誰にとっても同じように不明なのではなく, 不明の度合は医師によって違います。最初はむずかしいと感じるかもしれませんが,発熱の攻略法をマスターして日々の診療の中で実践を続けていくことによって不明の部分を小さくすることができます。_x0080_
2012年に,名古屋第二赤十字病院総合内科のメンバーにより『この1冊で極める不明熱の診断学』を上梓しました。この本では,経験と文献的な考察を織り交ぜて,+α(プラスアルファ)に注目して原因不明の発熱にアプローチする方法をなるべくわかりやすく言語化し解説しました。_x0080_
その後,読者から頂いたフィードバックの中で「診断に至る鑑別診断のプロセスを,症例提示しながら具体的に解説してほしかった」というリクエストがかなりありました。そこで,いつか,不明熱の症例帖のようなものをつくってみたいと考えていたところへ,日本医事新報社からjmedmookでの「不明熱」の企画を頂いたため,診断の思考過程を症例ベースで解説する本としてまとめることにしました。_x0080_
本書では,症例の紹介から始まって,(1)+αの情報に着目,(2)疾患の全体像に着目の二通りの不明熱の攻略法を示して解説しています。_x0080_
ここで取り上げた症例は,名古屋第二赤十字病院総合内科で実際に経験した実臨床例ばかりですが,個人情報保護のために,攻略の手がかりが失われない程度に情報を省略したり脚色したりした部分があることをお断りしておきます。_x0080_
本書を読むことで,読者諸氏が「原因がわからない発熱だ。わからない…」とすぐに思考停止してしまうことなく,考える手がかりを見つける思考トレーニングを積み,不明の部分を小さくする段階へステップアップすることに貢献できれば,著者一同の喜びです。_x0080_
それでは,「不明熱」の症例帖をお楽しみ下さい。