OCT/OFDIガイドPCI 完全解説
OCT/OFDIを最大限活用する!実地で使える知が詰まった1冊
目次
1章 総論
1 PCIにおけるOCTガイドの有用性ーangioガイド,IVUSガイドにまさるものは
2 OCTガイドの有用性ー多施設共同試験からわかること
2章 OCTガイドPCIの基本
1 いかに少ない造影剤・被曝量で明瞭な画像を取得するか
2 OCTによる組織性状診断
3 OCTの高リスク所見
4 OCTによる石灰化結節の診断と予後
3章 OCTを各病変に活かす
1 ステント留置部位およびステントサイズの決定法
2 急性冠症候群(ACS)
3 石灰化病変に対するデバルキング
4 石灰化病変に対する血管内砕石術(IVL)
5 分岐部病変におけるOCTガイドPCIの有用性
6 ステントレス,薬剤コーティングバルーン(DCB)治療
7 ステント内再狭窄病変
4章 合併症・トラブルへの対処法
1 OCTでの合併症,トラブルからの脱出法
5章 OCT機器の仕様解説
1 Ultreon™ 2.0
2 OFDIの機器・機能
3 Gentuity®
6章 OCTの今後の展開
1 OCT-FFRの可能性
2 OCT-AIの可能性
7章 珍しい症例・OCT画像
序文
序文
冠動脈イメージングツールとして,time domain typeの光干渉断層映像(TD-OCT)が2007年に保険承認された。当初はオクルージョンバルーンや専用の低圧バルーンインフレーター等を用いながら,ステント留置後のフォローや急性冠症候群の病態把握等,ごく限られた状態のみで適応されていた。2011年にはfrequency domain OCT(FD-OCT,St Jude社)が,2013年にはoptical frequency domain imaging(OFDI,テルモ社)が保険償還されるようになり,特殊なデバイスを用いることなく画像が瞬時に撮像できるようになった。そのため適応は,通常のPCIにおけるステント留置ガイドや石灰化病変におけるロータブレーターガイド等にまで拡大されてきた。その後,3次元再構築ソフトが追加され,分岐部病変のステント留置ガイドにも積極的に適応されるようになった。近年,さらに高速でプルバックイメージングが可能なhigh frequency OCT(HF-OCT,Gentuity社)が開発され,現在3種類のOCTが利用可能となっている(以降,本文も含めて,便宜上すべてOCTと記載する)。
一方,明瞭なOCTの画像を得るには冠動脈内の血液を除去する必要があり,そのひと手間が,いまだ障壁となっているのも事実である。また,血管内超音波(IVUS)に対する臨床上の明らかな優位性が立証されていないことも,使用率の伸び悩みの一因と思われる。大半の施設ではIVUSの使用率が70%,OCTが30%というのが現状である。しかし当院のように,いったんOCTの画像取得や画像解釈に習熟すれば,その使用頻度が逆転することが多い。
本書では,OCTの臨床的意義,明瞭な画像の取得法,解析の基礎知識,画像解釈,PCIや病態解明にいかに活かすか,今後の展開等について解説した。本書を通じてOCTの利点を最大限に理解して頂き,PCIガイドの第一選択としてOCTが大いに活用され,予後改善に寄与できれば幸いである。
2025年6月
大阪府済生会中津病院院長 志手淳也